専門医の大野真司先生が指南「乳がん早期発見のために、月1回は自己触診を!」

達人のツボ2
世界で注目される「ブレスト・アウェアネス」

乳がんは自己触診でも見つけやすいがんですが、関心が薄い人も多くいます。そこで「ブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)」が世界的に提唱されています。

(1)乳房を自らチェックして状態を知り、(2)乳房の変化に早く気付き、(3)変化があったら医師に相談、(4)40歳になったら乳がん検診を定期的に受けることが推奨されています。

月1回の自己触診で早期に発見

【入浴時にチェック】
入浴時、石けんがついた手で触れると乳房の凹凸がよく分かります。

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(1)親指以外の4本の指をそろえて指の腹と肋骨で乳房をはさむように触れ、「の」の字を書くように指を動かす。

(2)しこりや硬い部分がないか、わきの下から乳首まで確認する。

(3)乳房や乳首を絞るようにして乳首から分泌物が出ないか確認する。

【仰向けに寝てチェック】

乳房が平たく広がる仰向けになって、しこりなどの有無を確認します。

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(1)仰向けになり、肩の下にタオルなどを当てる。

(2)入浴時と同じように指を動かして確認する。

【鏡の前でチェック】

鏡の前で自分の目で乳房を見ながら、変形などがないか確認します。

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(1)腕を高く上げて、ひきつれ、くぼみ、乳輪の変化、乳頭のへこみ、湿疹がないか観察する。

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(2)両腕を腰に当て、くぼみなどがないか観察する。

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(3)片腕を上げた状態で乳房を触り、しこりなどがないか確認する。

こんな変化に気付いたら早めに乳腺科や乳腺外科へ

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乳がんの治療法

【外科的治療(手術)】

進行度により、一部だけを取る「乳房部分切除術(乳房温存術)」、「乳房切除術(全摘術)」の他、皮膚と乳頭・乳輪を残し、皮下の乳腺のみを全て切除すると同時に、乳房を再建する「乳頭乳輪温存乳房切除」などがあります。

【薬物療法】
治療薬は約30種もあり、主に早期乳がんの手術前・後、再発転移乳がんのときに使われます。女性ホルモンの増加を止めるもの、抗がん剤など、患者のがんの特徴を調べ、合う薬を使い分ける「個別化医療」が行われます。

【放射線治療】
部分切除の手術後に再発予防の目的で行うのが一般的。がんを部分切除した場合、残した乳房に目に見えない小さながんが10~20%ほど残り、再発する可能性がありますが、放射線治療はこれを5%以下にすることができます。

文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

がん研有明病院 副院長 乳腺センター長
大野真司(おおの・しんじ)先生

1984年、九州大学医学部卒。九州大学医学部附属病院講師、米国テキサス大学研究員、国立病院機構九州がんセンター臨床研究センター長などを経て、2015年、がん研究会有明病院乳腺センター長に就任。18年から現職。

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