がんは早期発見で治癒率がアップ! やってはいけない「検診」の5つの新常識とは?

「がん」にかかることなく健康的に暮らすために。食事、生活習慣、そして検診の3つを通して「がん」を防ぐ方法を学んでみましょう。今回は健康増進クリニック 院長の水上 治(みずかみ・おさむ)先生に「『がん』を防ぐためにやってはいけない検診」についてお聞きしました。

【前回】がんを防いで健康的に暮らすために! 「やってはいけない」6つの「生活習慣」の新常識とは?

【最初から読む】女性の2人に1人ががんになる時代...「やってはいけない」9つの「食事」の新常識でがんを防ぐ

●「やってはいけない」検診編

がんは早期発見で治癒率がアップ

どんなに食生活や生活習慣を改善したとしても、100%「がん」を防げるわけではありません。

そこで重要になるのが「がん検診」。

初期の状態で「がん」を見つけだすことができれば、水上先生曰く「治す手段はいくらでもある」。

逆に言えば、発見が遅くなればなるほど治しにくくなり、体の負担も経済的な負担も増えてしまいます。

「会社や地域で行われる健康診断や人間ドック程度では、初期の『がん』はまず見つからない。こまめにがん検診を受け、自分自身の体に向きあうようにしましょう」(水上先生)

体になんらかの症状が出てからでは遅いのが「がん」の特徴です。

検診は定期的に受けましょう。

1.健康診断だけで安心するのはダメ

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日本で行われている一般的な健康診断の検査は「がん」専用のものではないため、初期の「がん」はなかなか見つからないのが現状です。健康診断を受けたからと安心せず「がん検診」を必ず受けましょう。市区町村で行われている検診を利用するといいでしょう。

《健康診断の検査内容》

  • 身長体重
  • BMI
  • 血圧
  • 心拍数
  • 腹部超音波
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 胃部エックス線
  • 胸部エックス線(2方向)

日本で一般的に行われている検査では、初期がんが見つかりにくい!

《市区町村で可能ながん検診の例》

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※自治体によって異なりますので、お住まいの自治体にお問い合わせください。

2.再検査や精密検査を怖がるのはダメがんは早期発見で治癒率がアップ! やってはいけない「検診」の5つの新常識とは? 2110_P045_01.jpg

日本人のがん検診の受診率は4割と低迷中。検査結果を怖がることよりも、「がん」になってしまう方が怖いのですから、再検査や精密検査を恐れず、自身の体と丁寧に向き合う日を作ってあげましょう。

【再検査とは】
健診で異常が確認された際に、良性のものか確認するために検査を行うことをいいます。

【精密検査とは】
確認された異常が、どのような原因疾患で起こっているのか、確認するための検査です。

3.全て医者まかせにするのはダメ

医師の中には、必要のない検査をプラスしてお金を稼ごうとする人も残念ながら存在します。検査内容を医者まかせにせず、自身が納得できる検査を受けましょう。女性の場合は「乳がん」検診も忘れずに。

《1つの検査で満足しないことが大切です》

乳がんの検査なら...
「乳房エックス線検査(マンモグラフィ)」とともに、詳細な検査が行える「超音波(エコー)検査」を。

大腸がんの検査なら...
便に血が混じっていないか確認する「検便(便潜血検査)」とともに、大腸内視鏡検査を受ける。

4.ウイルス感染検査を受けないのはダメ

《おすすめのウイルス検査》

●ピロリ菌(呼気などから感染を判別します)
●肝炎ウイルス(採血により検査を行います)
●ヒトパピローマウイルス(膣内に器具を入れて細胞をこすり取る、細胞診を行います)

5.1年に1度の検診を受けないのはダメ

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市区町村でおおむね1年に1度行われているがん検診は、費用の多くを公費でまかなっているため、安価な自己負担(無料の場合も)で受けることができます。せっかくの機会ですから、忘れずに受けましょう。

取材・文/和栗 恵 イラスト/木波本陽子
 

<教えてくれた人>

健康増進クリニック 院長
水上 治(みずかみ・おさむ)先生

医学博士、公衆衛生学博士。患者の立場に立った医療を展開中。『日本一わかりやすいがんの教科書』(PHP研究所)をはじめ、「がん」についての著書多数。

この記事は『毎日が発見』2021年10月号に掲載の情報です。
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