患者&予備軍が700万人に上るといわれ、痛みとともに手指が曲がってしまう難病の「関節リウマチ」。これまで「不治の病」と思われてきたこの病気の治療法は、実は新薬の登場で劇的に変化しているのだそうです。そこで、10万人の患者を救ってきたリウマチの専門医・湯川宗之助さんの著書『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(KADOKAWA) より、「リウマチを治すための最新情報」をご紹介します。
症状を放置していると特有の症状「関節の変形」が起こる
関節リウマチが発症した先にあるのが、関節の破壊・変形です。
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適切な診断と治療を受けずにいると、滑膜の炎症は着実に、周囲の組織を壊していきます。
関節の内部で炎症が続いてさえいれば、たとえ関節の腫れや痛みがひどくない場合でも、関節破壊が進行していることもあります。
しかも、ご紹介したデータのように、それは発症から半年~2年のうちに起こりうるのですから、油断は厳禁です。
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関節の破壊・変形が起こるメカニズム
ここまでお話ししたような、滑膜の炎症から始まった関節の状態悪化は、一般的に以下の4段階のステージを経て進行するとされています。
●ステージⅠ(初期)
骨や軟骨の破壊はみられないが、滑膜は厚く腫れ上がり、関節液がたまり始めている状態。関節のこわばり・腫れ・痛み・熱っぽさなどを感じる。
●ステージⅡ(中等度進行期)
軟骨の部分が破壊され始めて薄くなり、骨どうしの間、つまり関節内のスペースが狭くなっている状態。骨自体の破壊はまだ起きていないが、骨の表面が〝虫食い〟のように欠けて壊れた「骨びらん」が現れ、自覚症状は強まる。
●ステージⅢ(高度進行期)
骨にも軟骨にも破壊が生じた状態。骨どうしが直接こすれ合うようになる。骨の破壊がさらに進むと、関節がうまく噛み合わなくなり、周囲の腱・靭帯・筋肉の状態も悪化して、関節をうまく支えられなくなり、関節の変形が起こってくる。
●ステージⅣ(末期)
関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。骨と骨がくっついて〝1本の骨〟のような状態(強直)になることもある。関節としての機能は完全に失われる。
【関節破壊の進行度】
関節破壊が始まっているか否かは、レントゲン検査を受けなければはっきりわかりません。
しかし、一般的にはこのような段階を経て関節破壊が起こるということを、念頭に置いておくべきでしょう。
関節破壊の先には、変形があります。
通常、見た目の変形は10~15年の年月をかけて発生するものですが、関節の破壊と変形がリンクしていることは事実です。
イラスト/松野 実
関節リウマチの正しい知識や、最新治療を受けるためのアドバイスを5章にわたって解説