自然免疫を高めましょう。医師・鎌田實さんが大人女性に勧める「コロナ時代の健康法」

雑誌『毎日が発見』で好評連載中の、医師・作家の鎌田實さん「もっともっとおもしろく生きようよ」。今回は、新型コロナ自粛生活下において「鎌田さんが心がけていること」について教えていただきました。

pixta_28978365_S.jpg

自粛生活は、認知機能の低下やフレイルが心配

新型コロナウイルスの感染予防のためには、人との接触や活動を少なくすることが大事です。

しかし、人とのかかわりや活動が減ると、要介護の原因になりやすい認知機能の低下やフレイル(虚弱)になりやすくなります。

感染から身を守りながら、体と心の健康を維持していくために、ぼく自身が心がけていることを紹介しましょう。

血圧や血糖値、体重増加に注意

自粛生活では運動不足や食生活の偏り、ストレスなどで血圧が上がりがちです。

高血圧は症状が出ないので軽く思いがちですが、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞を起こす怖い病気です。

認知症リスクを高めることも分かっています。

もう一つ、高血圧に注意すべき理由があります。

それは、高血圧がある人は新型コロナにかかると重症になりやすいからです。

WHOの発表では、新型コロナ全体の致死率は3・8%ですが、高血圧のある人は8・4%と高くなるのです。

なぜ、高血圧があると重症化するのでしょうか。

血圧は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系というホルモンが血管を収縮させることで上昇します。

このホルモンは、炎症を起こすサイトカイン(※1)の産生を促進させる働きもあります。

新型コロナ肺炎は、このサイトカインが暴走し、正常な細胞まで攻撃してしまうサイトカイン・ストームが起こることで急激に悪化すると考えられています。

こうしたリスクをできるだけ低くするためにも、ぼくは血圧の上昇に気を付けています。

読者のみなさんもぜひ、毎日、血圧を測って、高血圧にならないようにしましょう。

同様に、血糖値や肥満にも注意しています。

糖尿病のある人は新型コロナの致死率が9・2%。

若年者でも肥満があると、重症化しやすいというデータが出ています。

※1 細胞から分泌されるたんぱく質。さまざまな種類があります。

室内でできる運動と野菜たっぷり生活

血圧や血糖値、体重をコントロールするために、軽い運動を毎日続けるとともに、野菜を一日350g取るようにしています。

ぼくが代表をしている認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)では、『PPHピンピンひらり─人生100年時代をどう生きる─』というDVDを作りました。

自宅で簡単にできる筋活として、ぼく自身が何種類かのスクワットとかかと落としを実演し、食事や心構えなどを紹介しています。

毎日、運動を続けると筋力の低下を防ぎ、フレイルを予防することができます。

筋肉を動かすことで、マイオカイン(※2)という物質が分泌され、認知症を予防するといわれています。

DVDの利益はすべて、福島やイラクの難民キャンプの子どもたちの支援活動のために使います。

自分の健康を守りながら、支援活動にもぜひ、協力してください。

※2 筋肉から分泌されるホルモンのような物質。

ワクチンのないいま、自然免疫を高めることが大切

ぼくたちの体には、ウイルスや細菌などの異物から身を守る免疫の仕組みがあります。

その一つが獲得免疫というもの。

感染症を起こすウイルスや細菌が体に入ると、抗体を作って闘います。

あるいはワクチンを接種して抗体を作れば、抗体がある間は感染症にかかるのを防ぐことができます。

いま、世界中がワクチンの開発を待っているところですが、実用化されるようになるまでには、もう2~3年かかるといわれています。

免疫にはもう一つ、自然免疫という仕組みがあります。

リンパ管の中を流れているリンパ球が、ウイルスや細菌がいないかパトロールして、見つけるとそのウイルスや細菌を食べてくれたりするのです。

大阪大学免疫フロンティア研究センター招聘教授の宮坂昌之先生と対談をしました。

新型コロナとの闘いには獲得免疫が重要だけれど、自然免疫も頼りになると話していました。

同じような生活をしているのに、インフルエンザやかぜにかかる人とかからない人がいるのはおそらく、自然免疫の差が関係しているのだと思います。

一般に「免疫は高いほどいい」と思われがちです。

しかし、免疫はウイルスだけでなく、自分自身も攻撃してしまうことがあります。

前述した新型コロナ肺炎を悪化させるサイトカイン・ストームは、免疫の暴走で起こります。

免疫は、アクセルとブレーキのバランスが大事なのです。

そこで、ぼくは体に備わった免疫の仕組みがうまく機能するように、次のようなことを心がけています。

一日のリズムを整え、体温を上げてリンパの流れを良くする

免疫機能をうまく働かせるには、一日のリズムを整えることが大切です。

自粛生活では朝寝坊になりがちですが、朝、太陽に当たって、スクワットやかかと落としなどの軽い運動をし、朝食を取ると乱れたリズムがリセットされます。

また、軽い運動をしたり、寝る前にお風呂に入ったりして体を温めると、血液やリンパの流れが良くなり、リンパ球のパトロール機能を高めることが期待できます。

さらに、免疫の中枢は腸ですから、腸を健康にするため、野菜の食物繊維と発酵食品を取るようにすることにも努めています。

新型コロナとの付き合いはしばらく続くでしょう。

大きな流行の第一波が収束した後も、再び感染が広がらないように注意を続けることが求められています。

突然始まったコロナ時代ですが、良くない習慣や仕組みは改善し、人間が幸せになる社会をつくっていく良い機会にしていけたらいいですね。

【まとめ読み】気づき満載! 鎌田實さんの記事リスト

 

鎌田 實(かまた・みのる)さん

医師、作家、諏訪中央病院名誉院長。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。『だまされない』(KADOKAWA)など著書多数。

■鎌田先生のDVD「ピンピンひらり人生~100年時代をどう生きる~スクワット&かかと落としDVD」の詳細はこちら


■「認知症予防」をもっと詳しく知りたい人は!

81QzvVsK7xL123.jpg

「図解 鎌田實医師が実践している 認知症にならない29の習慣(朝日出版社)

今回、鎌田先生が紹介してくださった「認知症予防」が詳しく解説されている最新刊! 医学的に正しい認知症予防の方法が、豊富なビジュアルとともに紹介されています。
「速遅(はやおそ)歩き」「青魚、えごま油、高野豆腐を食べる」「新聞から4つの単語を選ぶ」など、無理なく日常生活で実践できる習慣がわかりやすく解説されています

■鎌田實先生の特集が一冊の電子書籍に!

shoei.jpg

「鎌田實式 若返り健康法」(『毎日が発見』健康ブック Kindle版)

定期誌『毎日が発見』の大人気特集が電子ブックになって登場!! 
「ぼくは67歳で筋トレを始めてから、人生が変わった!」と話し、ご自身を「スクワット伝道師」という鎌田實先生(71歳)の健康法を大公開。「スクワット」や「かかと落とし」など無理なくできる「筋トレ」の方法をはじめ、ゆで卵やジュースなどの「若返りごはん」レシピ、「心の若返り方」や、若々しい先生の「着こなしの極意」まで、盛りだくさん。保存版の一冊です!!

この記事は『毎日が発見』2020年7月号に掲載の情報です。
PAGE TOP