検診では問題ないけれど、いつもおなかの調子が悪い。そんな経験はありませんか? そんな症状にお悩みの方は、もしかしたら「過敏性腸症候群」かもしれません。生活習慣の見直しに取り組めば、過敏性腸症候群は改善できます。今回は、東急病院 健康管理センター所長で心療内科医長の伊藤克人先生に、過敏性腸症候群について教えていただきました。
生活の質が著しく低下。他の病気との鑑別も大切
電車に乗った途端、我慢できない便意をもよおすようなことはありませんか?
車内にトイレがないと脂汗が出て、次の駅で慌てて下車するようなことも。
このように急におなかが痛くなって下痢をしたり、便秘を繰り返すようなことが過敏性腸症候群では起こります。
「またトイレに行きたくなったらどうしよう」といった強い不安から、乗り物に乗ることや外出ができなくなってしまう人も少なくありません。
「患者さんはQOL(生活の質)が低下すると受診される人が多いです。過敏性腸症候群は、ストレスなどで自律神経が乱れた結果、症状が出る病気です。しかし腸の粘膜などには異常はないのです。その診断はとても大切です」と伊藤克人先生は話します。
下痢や便秘を繰り返しておなかの調子が悪い状態では、内科を受診するのが一般的です。
内科で処方される薬でよくなる人もいます。
それでも治らないときは消化器専門医のいる病院へ。
大腸内視鏡検査などを受けても異常は見られず、さらに過敏性腸症候群と診断されて薬を服用しても改善されないときには心療内科へ行きましょう。
「症状の似た別の病気との鑑別は大切。一度は大腸内視鏡検査を受けましょう」と伊藤先生。
ご存じですか「過敏性腸症候群」
小腸や大腸に病気などの異常が見つからないのに、便通の異常や腹部の不快な症状が続く病気。患者の6〜7割は女性。
どんな症状?
●下痢型
・腹痛や腹部の不快感がある慢性的な下痢
・1日に何度もトイレに行く
●便秘型
・腹痛や腹部の不快感がある慢性的な便秘
・排便をするときに腹部が苦しくなることが多い
●交互型
・下痢と便秘を交互に繰り返す
もしかしてあなたも過敏性腸症候群?セルフチェック
下記の症状が当てはまる数が多い人ほど、敏性腸症候群の疑いが高まります。
5つ以上当てはまる人は内科で受診を。
・回腹痛や腹部の不快感が3カ月以上続いている
・排便すると症状が軽くなる
・日によって排便回数が変化する
・便の性質と状態が一定ではなく、排便のたびに異なる
・残便感がある
・頻繁に腹痛に襲われる
・腹部が膨れるような感じがする
・おなかがゴロゴロする
・よくおならやゲップが出る