糖質制限、1日の水分補給量、がんは遺伝、仮眠の善し悪し...最近は健康情報がネットに溢れかえっています。そこで「食事」「運動」「睡眠」「生活習慣」などをテーマに、身近で気になる健康情報の疑問に医学のスペシャリストがお答えします。10名の医師団による共著『最強の医師団が教える長生きできる方法』(アスコム)から「健康寿命」のヒントになる記事を抜粋してご紹介します。
【質問1】タバコは本当に「百害あって一利なし」でしょうか?
【答え】ひとつとして健康につながる報告は見つかりません。
▼教えてくれた人=前島裕子 先生
愛煙家の方には耳の痛い話かもしれませんが、タバコに関してはこの質問にあるとおり、百害あって一利なしです。
ひと昔前には、「今日も元気だたばこがうまい」という広告(のキャッチフレーズ)を街中で目にすることができました。
そういう時代だったと言えばそれまでですが、いまとなっては言語道断。
現在、どれだけ科学論文検索をしてみても、ひとつとして健康につながるという報告は見つかりません。
喫煙はCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染、重症化リスクを上げるうえに、肺がん、口腔がん、胃がん等、がんの発症リスクファクターであることが認められており、タバコをやめたときの体と心の健康増進の報告も多いです。
さらに、自分が吸わなくても副流煙により他人の健康を損なう危険があります。
やはり長生きを目指すならば、禁煙するに越したことはありません。
【質問2】半身浴は体にいいですか?
【答え】半身浴は体にいい。とくに心臓の悪い人におすすめです。
▼教えてくれた人=鳥海弥寿雄 先生
半身浴はいいこと尽くめ。
そう言っても過言ではないでしょう。
体を温める時間はかかりますし、それによってもたらされる作用もスローですが、なにより体に大きな負担をかけないのが魅力的です。
体力のない方、持病を抱えている方、高齢者なども安心して入浴できますから。
とくに心不全の症状のある人たちには打ってつけです。
心臓をはじめとする循環器系の悪い人のなかにはお風呂嫌いが多く、その理由を尋ねると「お風呂の水圧がとても負担に感じるから」だと言います。
お風呂に入りたがらないのは、体が本能的に危険を察知しているからなのです。
でも、半身浴なら大丈夫。
お風呂の水位は心臓より下に位置することになりますので、圧力を感じることはありません。
40度くらいのぬるめのお湯にゆったり浸かってください。
脱水症状にならないように、浴室に飲みものを持ち込んでもいいですし、音楽をかけてさらにリラックスするのもいいでしょう。
【質問3】リンパマッサージの効果は、科学的に証明されているのでしょうか?
【答え】心にも体にも好影響を与えることが証明されています。
▼教えてくれた人=前島裕子 先生
リンパ液とは血管壁から漏れ出た水分のことを指しますが、これらのリンパ液が正常に流れるためのリンパ管の流れが滞ると、むくみや老廃物の排出の低下などが起こり、体に負担がかかってしまいます。
そんなときに効果を発揮してくれるのが、リンパマッサージ(リンパドレナージュ)です。
リンパマッサージは、リンパ管の流れに沿って皮膚にやさしく圧力をかけることによって、リンパ液の流れをよくしてくれます。
人に対するリンパマッサージの効果は科学的に証明されており、自律神経系を整える効果、不安やストレスの軽減、腸の動きの改善など、さまざまな効果が報告されています。
つまり、リンパマッサージは心にも体にもよい影響を与えてくれるのです。
ヒトの手(温度とやわらかい感触)で施術するというところにも、大きなメリットがあると考えられます。
【まとめ読み】『最強の医師団が教える長生きできる方法』記事リストはこちら!
医学の専門家が「世の中に氾濫する健康情報の是非」を全5テーマでわかりやすく解説してくれています。