超高齢社会の現代において、認知症は誰もがなりうる病気の一つ。脳は体よりも老化が早いといわれています。10の新常識を知って、脳の健康寿命を延ばしましょう。今回は、アルツクリニック東京院長、順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊(あらい・へいい)先生に「『脳寿命』を延ばす新常識」をお聞きしました。
【前回】認知症の発生リスクを高める「難聴」とリスク2倍の「糖尿病」。適切な対策で脳の健康寿命を延ばす!
【最初から読む】2025年には5人に1人が認知症!? 「脳が老化する4つの仕組み」を知って老化予防を心がけよう
【新常識】血圧と血中の脂質をチェックする
認知症リスクの上昇要因
中年期からの対策がカギ
糖尿病と並び、認知症の発症リスクを高める生活習慣病が、高血圧と脂質異常症です。
「血圧が高くなると血管の壁に圧力がかかり、血管が傷つき、動脈硬化の原因に。脳卒中などを起こして脳にダメージを与えます」と、新井先生。
特に中高年期に高血圧を放置すると、高齢時の認知症発症リスクが高まることが分かっています。
ただし、高齢者が血圧を下げ過ぎると、逆に認知機能が衰える場合も。
中年期からの血圧コントロールが大切です。
脂質異常症も動脈硬化を引き起こして、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害の要因となります。
血管性認知症も発症しやすくなりますが、この場合も早めの対策が重要。
高齢になってから脂質管理を始めても、認知機能の低下を防ぐ効果は低いとされています。
【新常識】歯周病は負の連鎖を生む
認知症を促進させる歯周病はすぐに治療を
最近の研究によると、歯周病と認知機能の低下、また、歯周病に関与する口腔内細菌と脳内のアミロイドβ産生に関係性があることが分かっています。
歯周病は糖尿病を悪化させる要因でもあります。
【新常識】毎日の飲酒は控える
神経細胞を破壊し、脳を萎縮させるアルコール
「アルコールは直接的に脳に影響を及ぼします」と、新井先生。
神経伝達物質の働きを低下させ、記憶に障害を及ぼすことが動物実験で分かっています。
一度に多く飲むより、毎日飲む習慣の方が脳の萎縮を着実に進めるので要注意。
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取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/藤田ヒロコ