認知症のタイプは大きく分けて5種類。もしかして?と思ったら早めの受診を

年齢とともに、物覚えが悪くなったり、人の名前が思い出せなくなったりすることは誰にでも起こります。しかし、認知症は「老化によるもの忘れ」とは異なり、何らかの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態を指します。

認知症が起こる原因や認知症の進行過程について鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野教授で、日本認知症予防学会理事長の浦上克哉先生にお話をお伺いしました。

 

前の記事「認知症の発症には20年以上かかる! 認知症の進行メカニズムを知っておこう(2)」はこちら。

 

認知症のタイプはさまざま。早期の対策で進行を予防

認知症には、さまざまなタイプがあります。ここでは、大きく分けて5つのタイプをご紹介しましょう。
認知症のタイプは大きく分けて5種類。もしかして?と思ったら早めの受診を 1812p013_01.jpg

●アルツハイマー型認知症
脳にアミロイドβたんぱくやタウたんぱく質がたまり、神経細胞が死滅、脳が萎縮します。「体験全体を忘れる」といったもの忘れが特徴的。脳血管障害との併発も多いです。

●血管性認知症
脳卒中が主な原因。ダメージを受けた脳の部位や障害の程度で症状は異なります。手足や指などが動かないなどの障害が起きる場合もあります。

●レビー小体型認知症
脳内にレビー小体という特殊なたんぱく質がたまって神経細胞が死滅して起こります。幻覚や妄想などの症状が特徴。

●前頭側頭型(ぜんとうそくとうがた)認知症
脳内の理性や思考、感情を司る部位が萎縮し、反社会的な行動をとります。初期には、やたらと甘いものや辛いものを好むなど食行動の異常も。

●糖尿病性認知症
糖尿病による糖代謝異常に伴う神経細胞障害が、認知症の発症に深く関わっていると考えられる認知症。特徴は、海馬の萎縮があまり見られず、記憶障害が軽いこと。一方で、注意力や意欲が低下し、料理を作れないといった遂行機能障害が顕著に起こります。

 

 
受診の際は、かかりつけ医に相談
症状メモをつけて活用を

認知症が疑われる場合、まずは普段の様子をよく分かっているかかりつけ医に相談し、必要であれば認知症専門外来(※) や各地域にある認知症疾患医療センターなどに紹介してもらいましょう。地域包括支援センターに相談すれば、専門機関を紹介してもらうこともできます。

認知症の診断は、血液検査や認知症検査、脳画像検査、問診などによって行われます。気になる症状などは事前にメモを作成しておきましょう。また、症状をよく分かっている人が必ず付き添うようにします。

メモにまとめておきたいこと
● 気になる症状はどんなもので、いつから出始めたか(できればきっかけも)
● 既往症、治療中の病気の情報
● 服薬中の薬
● その他、心配なこと、気がかりなこと

※日本認知症学会のホームページで、認知症専門医のいる施設を調べることができます。

 

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取材・文/笑(寳田真由美)

 

 

<教えてくれた人>
浦上克哉(うらかみ・かつや)先生

医学博士。鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野教授。日本認知症予防学会理事長。認知症診断・予防の第一人者。『認知症&もの忘れはこれで9割防げる!』(三笠書房)など著書多数。

この記事は『毎日が発見』2018年12月号に掲載の情報です。
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