アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、治療法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第3回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんにお聞きした「45歳女性のケース」についてご紹介します。
こんにちは。あんしん漢方(オンラインAI漢方)で薬剤師として働いている、清水みゆきです。
40歳を過ぎたころから、めまいや立ちくらみにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
めまいは更年期の女性にもよくある症状のひとつです。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれる時期。
でも、年だからしょうがないと諦めなくて大丈夫。
なぜなら、更年期のめまいは漢方で改善するからです。
私の対応したお客様で、めまいがひどくて仕事にも支障が出るようになっていたBさん(45歳、夫と息子1人の3人家族)が、漢方の服用でめまいを改善した事例をご紹介します。
1.更年期にめまいが生じる原因
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性の体は、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れにより自律神経が不安定な状態になるため、めまいが起きやすくなります。
さらに、加齢による体の機能低下、忙しさや生活環境の変化によるストレスも更年期のめまいを悪化させる原因となります。
更年期のめまいの症状には、グルグル回る回転性のめまいよりも、頭がぼーっとする、ふわふわするようなめまいが多いという特徴があります。
2.レジ打ちの仕事中にも襲うめまい...Bさんの場合
Bさん(45歳女性)のエピソードをご紹介します。
Bさんは、1歳年上のご主人と高校生の息子1人の3人家族。
思春期の息子との付き合い方に戸惑いながら、家事に加えて、スーパーのレジ係のパート勤務もしています。
もともと健康には自信があったのですが、40歳を過ぎた頃から、立ちくらみや急にふわっとするめまいに襲われることが増えたということでした。
ちょうど息子が高校生になり、勉強しない、言うことを聞かない、何をしているかわからないとストレスも感じるようになった頃です。
そんな中、仕事でレジを打っている時にも「このまま倒れてしまったらどうしよう」と思うくらいのめまいを感じるようになりました。
パートの仕事中に次もめまいが出現したらどうしよう...と不安感も強くなり、耳鼻咽喉科を受診。
しかし、その検査では異常はみられなかったそうです。
しかし、めまいは改善することはなく、そのうち仕事から帰ると、まずソファーで横になって休まないと夕ご飯の支度もできない日も出てきました。
これまでと違うBさんの疲れた姿に、「お母さん、大丈夫?」と息子さんやご主人も心配してくれたそうなのですが、どうしたらいいのか自分でもわからず、塞ぎこむ時間が増えてしまったそうです。
家族の雰囲気も暗くなってきて、嫌だなと思っていた時、たまたまテレビで見たのが「更年期」がテーマの健康番組でした。
Bさんはそこで、更年期障害の症状として、のぼせや動悸、不眠、イライラだけでなく、めまいも起きることを初めて知りました。
「そういえば、めまいが増えた頃から、子育てのストレス以外にもそれまで順調だった生理周期が不順になったり、冷えや疲れやすさを感じるようになっていたかも」
「ということは、もしかしたら私のめまいも更年期が原因かもしれない」
と考え、すぐにネット検索。
そして、更年期障害は漢方で治ることを知り、ネットでオーダーできる漢方薬を試してみることにされたんです。
漢方薬を飲み始めて2週間ほどすると、帰宅後にソファーでぐったりすることがなくなってきました。
1か月後にはめまいもかなり改善。
仕事中にめまいが起きたらどうしようという不安もなくなったことで、気持ち的にも楽になったといいます。
「お母さんが元気になってよかった!」と息子さんやご主人も喜んでくれたそうです。
後日、Bさんは、「病院の検査でも原因がわからず不安でしたが、まさか、更年期でめまいが起きるとは知りませんでした。早めに気づいて改善できてよかったです。今も疲れをためないように気をつけています。」と笑顔でおっしゃっていました。
3.更年期のめまいには漢方が効果的
Bさんの場合は、更年期の女性ホルモンのバランスの乱れに過労やストレスが重なって、めまいが出現したと考えられます。
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期のせいかもしれません。
<これって更年期のめまい?チェックリスト>
□立ちくらみやふわふわするようなめまいを感じる
□めまいの他にほてりや発汗、頭痛、動悸、不眠などの症状が増えた
□イライラや気分の落ち込みなど気持ちが不安定
「私の不調ってもしかして更年期のせい?」「どうしたら治るの?」そんな方におすすめなのが、漢方です。
更年期の不調には漢方が効くことが多く、更年期障害をきっかけに漢方を飲み始めたという女性は私の周りでも多くいらっしゃいます。
漢方薬とは、私たちの身体が本来持っている代謝の力や免疫の力を高めるように作用してくれるものです。
体質そのものの改善に役立つため、根本解決になるのが良い点です。
今回Bさんが服用した漢方は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」という更年期の女性のめまい、頭痛、冷えや貧血症状によく使われる漢方でした。
更年期のめまいの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
めまい、頭痛、肩こり、婦人科系の不調などによく使われます。
●女神散(にょしんさん)
めまい、のぼせ、頭痛、婦人科系の不調などによく使われます。
なぜ何種類もあるのかというと、同じ「めまい」という症状であっても、体質や体型などによって、有効な漢方が異なるためです。
そのため、自分で適当に選んだりせずに、漢方専門クリニックや薬局で、専門家から自分に合った漢方薬を選んでもらうようにしましょう。
自分に合った漢方薬が知りたいけど、近くに漢方専門薬局がない...という方には、インターネット上で漢方の専門家に相談できる、オンラインAI漢方もおすすめですよ。
4.見逃しがちな更年期の不調は漢方で治そう
立ちくらみやふわふわするめまいが増えてつらい、その原因は、女性ホルモンの減少で起きる更年期障害のせいかもしれません。
漢方で心と体のバランスを整えて、更年期も元気に過ごしていきましょう!