『みるみる筋力アップ 高血圧・高血糖・認知症を予防! 鎌田式 たった10秒スロー筋活』 (鎌田 實/KADOKAWA)第10回【全10回】
いつまでも自分の足で歩いて人生を楽しむには、健康、そして脚力が必要です。
最近、筋肉を鍛えるには、筋肉をゆっくり伸ばしながら力をこめる「伸張性筋収縮」運動のほうが、筋肉が縮むように力を入れる運動よりも筋トレの効果が現れやすいという研究結果が報告されるようになりました。 さらに、運動をすると筋肉からマイオカインという物質が出て、全身の臓器にいい影響を与えることがわかっています。
「伸張性筋収縮運動8秒+短縮性筋収縮運動2秒」の1回10秒で行える筋トレ「10秒スロー筋活」を提唱するのが医師の鎌田 實氏。その著書「みるみる筋力アップ 高血圧・高血糖・認知症を予防! 鎌田式 たった10秒スロー筋活」(KADOKAWA)より、日常生活のスキマ時間にできる脚の筋トレをご紹介します。
※本記事は鎌田 實著の書籍『みるみる筋力アップ 高血圧・高血糖・認知症を予防! 鎌田式 たった10秒スロー筋活』から一部抜粋・編集しました。
上りよりも下りがラク「階段下りで筋トレ」
階段の上りと下り、筋トレ効果の高いのはどちらだと思いますか? 上りのほうがハアハアと息が切れるし、足を持ち上げるのがしんどく感じます。ところが、筋力アップの効果の面から見れば、意外にも階段下りのほうが優れています。
階段上りは、太もも前側にある大腿四頭筋の短縮性筋収縮運動です。股関節を伸ばすお尻の大臀筋と太ももの裏側のハムストリングスなどが強化されますが、複数の筋肉を使うため、筋力アップの効果は分散されてしまいます。
階段上りは、心肺機能の強化の面では、優れた運動です。運動部などの練習の一環として、神社の階段を駆け上がる「階段ダッシュ」を見たことがある人もいるでしょう。あれは、心肺機能を高めて、持久力を強化しているのです。
階段下りで、筋トレ効果+骨粗しょう症予防
一方、階段下りは太ももの大腿四頭筋を強化します。大腿四頭筋で体を支えるため、大腿四頭筋により大きな負荷がかかり、筋力アップの効果が現れやすくなります。
階段下りでは骨に刺激が加わるので、骨強度が高まって骨粗しょう症の予防にもなります。ただし、下りは目から足を踏み出す階段までの距離が遠いので、足を滑らせて転倒する危険が高くなります。手すりを持って行うなどの注意が必要です。
階段下りではもの足りない人は、負荷を高めて行うといいでしょう。
プロスキーヤーの三浦雄一郎さんは、85歳のときに出演したNHKの番組で、片足約4kg(両足で約8kg)、背中に15~20kgの重りをつけてトレーニングしていると語っています。番組で三浦さんの筋肉量を調べたところ、50代の人と比べて2割以上も多いという結果が出ました。
僕も、伸張性筋収縮運動の効果を高めるために、スキー靴をはいて足の重さを増やして、階段下りを行っています。登山靴を持っている人は、登山靴をはいて階段下りや坂道下りを行ってもいいでしょう。ペットボトルを持ったり、米などを入れたリュックを背負ったりして、負荷を増やして行ってください。
階段は上りより下りるときのほうが、伸張性筋収縮が起こるので、効率よく大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛えられます。