「息切れ」は心臓や肺の病気の初期症状の場合もあるので要注意。循環器内科の小保方先生が解説

肺の病気が原因の場合

「息切れ」は心臓や肺の病気の初期症状の場合もあるので要注意。循環器内科の小保方先生が解説 2307_P074-075_02.jpg

特徴
・たんがからんで咳をすることがある(たんを伴わない空咳の場合も)
・ヒューヒュー、ゼーゼーと耳障りな呼吸音がある
・喫煙歴がある

考えられる病気

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
たばこの煙などの有害物質が原因で肺に炎症が起こり、空気の通り道である気道が狭くなる病気。じわじわと肺の機能を低下させ、息切れなどを起こす。

間質性肺炎
肺の間質と呼ばれる部分(肺胞の壁や周囲の組織)を中心に炎症が起こる病気。徐々に病状が進行し、呼吸不全に陥る場合が多い。

気管支喘息
空気の通り道である気道が慢性炎症を繰り返すことで呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞こえる喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難などの発作が生じる病気。

こんな症状は要注意!
・急な胸痛や胸の圧迫感がある
・座って安静にしていても息切れがする
・冷や汗が出る

急性心不全、急性心筋梗塞、肺塞栓症の疑いがあります。

すぐに医療機関を受診すること!

女性に多い「心不全」の予防法

血圧測定を毎日の習慣にする
家庭で毎日の血圧を測定し、高めの場合は医療機関に相談する

濃い味付け、塩分を控えたバランスの良い食事を取る
漬物・梅干し・佃煮などは控えめに。塩分の1日の摂取量を6g未満に

体重を減らす(肥満の場合)
メタボ体型や肥満は高血圧になりやすい

有酸素運動を定期的に行う
ウォーキング、スイミングなどできれば毎日30分以上の運動を

「息切れ」は心臓や肺の病気の初期症状の場合もあるので要注意。循環器内科の小保方先生が解説 2307_P074-075_03_W500.jpg

感染症の予防
風邪など感染症にかかると、心臓に負担がかかり、心不全を悪化させる原因になる

アルコールの量を減らす
ビール大瓶1本または日本酒1合が一日の目安

便秘の予防
便秘による排便時のいきみは血圧を上げ、心臓に負担をかけてしまう

ストレスをためない
ストレスは交感神経を刺激し、血圧を上げる原因となる

一年に一度は健康診断を受ける
異常を見つけて、早めに対処する


また、胸の痛みや胸の圧迫感がある、冷や汗が出るなどの症状がある場合は、急を要する状態です。

一刻も早く医療機関を受診しましょう。

診断は問診(どのようなときに、いつから症状があるか)と検査(胸部X線、心電図、心エコー、血液検査、肺機能検査)によって行われます。

特に女性で気を付けたいのは心不全です。

心不全は心臓の機能が悪化するために、息切れやむくみが起こり、じわじわと進行しながら命を縮める病気です。

進行を抑えるために、薬による治療が欠かせません。

薬の効果がすぐに実感できなくても、医師の指導に従ってきちんと飲み続けることが大切です。

心不全は高血圧や糖尿病などの生活習慣病によって引き起こされることが多いため、普段から上で紹介したような食生活や運動習慣を心がけることが重要です。

《最新の検査》
運動負荷心エコー図検査

「息切れ」は心臓や肺の病気の初期症状の場合もあるので要注意。循環器内科の小保方先生が解説 2307_P074-075_04_W500.jpg

あおむけでペダルをこぐ機械を使い、息切れが起きているときの心臓の状態を超音波で調べる検査。安静時には検出できない心臓の筋肉の動き、血液の流れ方の変化について知ることができる。

【関連記事】 50歳の女性に多い「手のこわばり」を改善する「手の体操」。鈴木王洋先生に聞きました!

【関連記事】「喘息」について専門医・松瀬厚人先生が解説! 高齢女性は重症化しやすいので注意を

取材・文/古谷玲子 イラスト/片岡圭子

 

<教えてくれた人>

群馬大学循環器内科病院講師
小保方 優(おぼかた・まさる)先生

2007年群馬大学医学部卒業。医学博士。19年より現職。22年3月に設置された「息切れ外来」にて「運動負荷心エコー図検査」を使って心疾患の早期発見につなげている。

この記事は『毎日が発見』2023年7月号に掲載の情報です。
PAGE TOP