鈴木王洋先生に聞きました! 50歳の女性に多い「手のこわばり」を改善する「手の体操」

大人世代になると聞こえてくるのが朝に感じる「手のこわばり」これには様々な理由が考えられますが、「手の体操」で改善が期待されます。今回は、すずひろクリニック院長の鈴木王洋(すずき・きみひろ)先生に、「手のこわばり」の種類や原因についてお聞きしました。

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主な原因
・関節リウマチ
・ヘバーデン結節
・更年期に伴う関節症

主な治療法
・薬物治療
・リング型紙めくりの装着
・大豆由来のサプリメント

《どう違う?手のこわばり》

関節リウマチ

痛み・腫れ・変形などの症状の出る場所

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特徴
・朝のこわばりが長い(1時間以上)
・症状は指の第2・3関節、手首など(全身のさまざまな関節にも出る)
・ぶよぶよとした柔らかい腫れが出る
・炎症による全身のだるさがある

ヘバーデン結節

痛み・腫れ・変形などの症状の出る場所

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特徴
・朝のこわばりが短い(1時間以内)
・症状は指の第1関節
・ペンだこのような腫れが出る
・全身症状はない


「朝の手のこわばり」を訴える人が多くいますが、何によるものかを鑑別することが重要です。

50歳前後の女性は、「更年期に伴う関節症状」や、「変形性関節症(ヘバーデン結節)」といった疾患が起こりやすい年齢です。

エストロゲン(女性ホルモン)分泌量の急激な減少が関係していると考えられます。

前者の場合、関節の痛みや腫れなど炎症を伴わないのが特徴です。

エストロゲンに似た働きをする「大豆由来のサプリメント」の摂取や、女性ホルモンを補うホルモン補充療法が有効です。

後者の場合は「第1関節」が腫れて痛いのが特徴です。

膨らみ始めが最も痛みが強く、膨らみきると痛みは和らぎます。

シリコンゴム素材のリング型の紙めくり(※1)で第1関節を保護すると、 物理的接触による痛みを軽減することができます。

最も注意したいのは関節リウマチによるものです。

発症して2年以内に関節の破壊が急速に進行し、一度破壊された軟骨・骨・関節は元に戻らないので、早期の診断・治療が肝要です。

リウマチ科・リウマチ膠原病(こうげんびょう)科で採血や画像診断などによる検査で判断できます。

関節リウマチの原因は不明ですが、遺伝的要因(関節リウマチ関連遺伝子)と後天的要因(喫煙、歯周病、慢性気管支炎、肥満、シェーグレン症候群※2など)が関わり、抗CCP抗体やリウマトイド因子(※3)が産出されるようになり、発症に至ります。

関節リウマチの治療は薬物療法(経口薬・注射薬)です。

免疫異常を改善する抗リウマチ薬の「メトトレキサート」が比較的多く選択されます。

「生物学的製剤」や「JAK阻害薬」など高い効果が期待できる抗リウマチ薬も登場しています。

炎症や痛みを軽減する「非ステロイド系抗炎症薬」が補助的に使われる場合もあります。

病気の勢いや薬の効き具合を見ながら調整します。

※1 文具店などで購入できる。

※2 涙や唾液を作っている臓器を中心に炎症を起こす全身性の自己免疫疾患。乾燥症状が出る。

※3 抗CCP抗体、リウマトイド因子はともに関節リウマチのマーカー抗体(目印となる抗体)。前者は関節破壊の進行に、後者はリウマチの炎症の度合い(活動性)に関わる。

 

<教えてくれた人>

すずひろクリニック院長
鈴木王洋(すずき・きみひろ)先生
1985年防衛医科大学校卒業。陸上自衛隊衛生学校研究員、防衛医科大学校病院の膠原病アレルギー内科科長などを経て、2009年より現職。リウマチ、膠原病、アレルギー疾患が専門。
皮膚疾患まで幅広く診療。

この記事は『毎日が発見』2023年6月号に掲載の情報です。
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