生理痛がひどくて動けない、婦人科疾患が治らない...こうした悩みや不安は、なかなか人には聞けないものだと思います。そこで、こうした多くの相談に答え、5万人の膣を診てきた婦人科医・駒形依子さんの著書『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』(KADOKAWA)より、人には聞けない不調を解決するカギとなる「こまがた式セルフケア」についてご紹介します。
【セルフケア】おっぱいはがし
あたしたちの体には、リンパ管が全身に張り巡らされていて、その中を流れるリンパ液が老廃物を運んでいます。
そのリンパ液は、老廃物を回収しながら、最終的には首と鎖骨下、わきの下、胸の周りに集中している大きなリンパ節へと集まり、そこから静脈にのせて尿や便、汗として体外へ排泄されていきます。
生理の前におっぱいが張って痛くなるのは、老廃物が排泄されずに詰まっているから。
それを解消するには、大胸筋と乳腺組織をはがして、おっぱい周りのリンパ液と血液の流れをよくすることです。
おっぱいはがしをおこなうと、上半身がポカポカして全身の血流がよくなるので、免疫力アップ、排泄力アップにつながります。
「膣や子宮の状態を整える」というと下半身ばかりに意識が向かいがちですが、上半身の流れをよくすることが大切です。
【おっぱいはがしのやり方】
①ブラジャーのワイヤーがあたる部分に親指を押しつけ、胸の周囲を少しずつ移動させながら、胸を内側に移動させるようにして乳腺をはがしていく(胸の内側は、右手の親指で左胸を、左の親指で右胸をはがすとやりやすい)
② 両手を軽くにぎって、ブラジャーのワイヤーの形に沿って3~5回、軽くなでながら老廃物を流す
③ 手を熊手のようにして、ブラジャーのワイヤーの形に沿って、大胸筋からおっぱいをはがす
④ 握りこぶしで、鎖骨の下をぐりぐりと3~5秒ほどほぐす
⑤ わきを下からぐっとつかみ、3~5秒ほどしっかりともむ
⑥ 片方ずつ腕を上げて、わきの下の前方にある筋肉の境目、くぼんでいるところをつかんで3~5秒ほど揺らす。これを左右交互におこなう
⑦ 片方の手でおっぱいを持ち上げ、もう片方の手は握りこぶしをつくって、アンダーバストや胸の谷間を3~5秒ほどぐりぐりとほぐす
⑧ 握りこぶしで、わきの下から胸の下まで少しずつ、外側から内側におっぱいを寄せるようにして、軽くぐりぐりと3~5秒ほどほぐす
⑨ ④の要領で、鎖骨の下を握りこぶしでほぐす
⑩ ⑤の要領で、わきの下をよくもんでリンパ液を流すおっぱいはがしをおこなうことで、老廃物が下から上に向かって一気に流れ込んでくるため、吐き気や胃のムカつきを感じる人もいます。
詰まっているところに痛みが出ることもあるので、排泄力を高めるために「膣トレ」や「骨盤ストレッチ」と同時におこなうといいでしょう。
また、せっかく骨盤内から上がってきた老廃物が処理できず、また逆戻りしてしまうのを避けるためにも、このおっぱいはがしや「胸鎖乳突筋はがし」「肩甲骨はがし」など、上半身のセルフケアもきちんと継続しましょう。
詰まりがひどい人ほど、吐き気や頭痛、胃のムカつき、おっぱい周りや肩甲骨周りの痛み、情緒不安定などが出やすいので、やりすぎない程度に少しずつおこなうことをおすすめしています。
ブラジャーのワイヤーがあたる部分ははがれにくいのですが、念入りにはがすと、段差ができて胸に厚みが出るようになります。
大胸筋と乳腺組織が癒着していると、はがすときにかなり痛いかもしれません。
ですので、肩甲骨はがしをしてからおっぱいはがしをおこなったほうが、痛みは少なくなるでしょう。
また、入浴時やお風呂上がりなど、体が温まっているときにおこなうのもおすすめです。
デスクワークで長時間同じ姿勢で座っている人は、トイレに行ったときなどに、おっぱいの周りをマッサージしてほぐしてみましょう。
リンパ節の詰まりがなくなるので、体が軽くなりますよ。
【まとめ読み】人には聞けない悩みがある人に。『膣の女子力』記事リスト
生理や婦人科疾患などの悩みを解決するカギや、セルフケアの方法について、5章に渡ってわかりやすく解説