生理痛がひどくて動けない、婦人科疾患が治らない...こうした悩みや不安は、なかなか人には聞けないものだと思います。そこで、こうした多くの相談に答え、5万人の膣を診てきた婦人科医・駒形依子さんの著書『膣の女子力 女医が教える「人には聞けない不調」の治し方』(KADOKAWA)より、人には聞けない不調を解決するカギとなる「こまがた式セルフケア」についてご紹介します。
これから紹介するセルフケアは、実際に生理痛や過多月経に悩んでいたあたしが、なんとかしたいと思って考案したものばかり。
20代後半までは、生理のたびに1日4~5回の鎮痛剤を飲みながら仕事をし、夜用ナプキンを1~2時間で交換しないと漏れたり、10cm大のレバーみたいな血のかたまりが出たりするのが当たり前でした。
でも、そんな自分に嫌気がさして、なんとかしたいと編み出したのが、「膣トレ」や「骨盤ストレッチ」などのセルフケアなのです。
実際に、このセルフケアで生理痛がなくなり、出血量も正常になり、鎮痛剤を飲まなくても快適に過ごせるようになりました。
症状を治すために通院もしていなければ、薬も飲んでいません。
しかも最近は、完璧に経血コントロールができるようになってきて、布ナプキンすら使わない状態。
それくらい、膣力を上げることができています。
これらのセルフケアは、一通りやったほうが、体中がポカポカになりやすく冷えない体になります。
どのセルフケアも1分あればできますので、たとえば、月曜日は「膣トレ」、火曜日は「胸鎖乳突筋はがし」など、曜日を決めて行うのもいいでしょう。
あるいは、朝に「おっぱいはがし」、お風呂で「会陰マッサージ」、寝る前に「横隔膜マッサージ」など、生活サイクルに合わせるのも手です。
時間がないときは無理せず、できるときに、できることを続けてみてください。
膣トレであれば、電車の中でも、テレビを見ているときでも、つまらない会議中でも(笑)できますよ。
毎日少しずつでもいいから、1つ1つを丁寧に継続することが大切です。
きちんとやろうと意気込むよりも、思い立ったときにやるというスタンスで、無理しない程度に実践することをおすすめします。
お金がかからないので経済的ですし、健康になるうえ、気持ちも前向きになれるという、いいことづくし。
やればやったぶん、必ず効果が出ますので楽しみにしていてください。
【セルフケア】膣トレ
膣の筋肉を鍛えるトレーニングです。
膣トレで動かす筋肉は、全身の筋肉の割合から見るとごくわずかですが、膣全体の粘膜や筋肉、組織の全面積を鍛えると考えれば、正直、子宮より大きいため、効果は抜群。
地味なトレーニングですが、続けることで、膣や子宮の冷えが改善して子宮トラブルがよくなったり、経血コントロールができるようになったり、尿漏れが治ったり、やせたり、濡れやすくなったりと、いいことづくしです。
そこで、膣トレをおこなう前に、まず筋肉の構造について説明します。
会陰周辺についてですが、尿道の周りを囲んでいるのが尿道括約筋(排尿をコントロールする筋肉)、膣の周りを囲んでいるのが膣括約筋(経血をコントロールする筋肉)、肛門の周りを囲んでいるのが肛門括約筋(排便をコントロールする筋肉)です。
膣トレで最も動かしたいのは膣括約筋です。
一般的な膣トレは、肛門を締めたり、尿道を締めたりするものです。
たしかに、これらの筋肉は8の字になってつながっているので、どこかを動かせば連動して全部が動きますが、膣括約筋を動かすにはそれだけだと不十分です。
では、どうすれば膣括約筋を鍛えられるのかというと、その筋肉がどこにあるのかを自分で認識すること。
下の図を見て、自分の膣括約筋がどこにあるのかを認識し、その筋肉を意識してトレーニングすることで、初めてその部分の筋肉が鍛えられるのです。
膣トレのやり方
① 肛門に力を入れてぐっと締め、肛門と会陰の間のIラインあたりがクッと動く感覚を探す
② ①の感覚を感じながら、肛門に力を入れる動作を何回か繰り返し、クッと動く範囲がIライン→Yライン→Oラインと、肛門から尿道のほうへ膣括約筋が意識できる範囲を徐々に広げていく
だいたい1カ月くらいで会陰の半分あたりまで意識して動かせるようになり、3カ月くらいで肛門から尿道までの全範囲の膣括約筋を動かせるようになります。
最初は、思い出したときに負担のない程度でおこなっていただければOKです。
慣れてきたら少しずつ回数を増やしながら継続しましょう。
【まとめ読み】人には聞けない悩みがある人に。『膣の女子力』記事リスト
生理や婦人科疾患などの悩みを解決するカギや、セルフケアの方法について、5章に渡ってわかりやすく解説