日本人に足りないのは「がん予防」に関する正しい知識! そもそも「がん」とは何か、専門医が解説

「がん予防」というと、どんなイメージがあるでしょうか。様々な健康情報がありますが、がん専門医であり、予防医療のヘルスコーチとして活動する石黒成治さんは、がん予防の1つとして「筋トレ」を習慣づけることを勧めています。そこで今回、石黒さんの著書『筋肉ががんを防ぐ。専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』(KADOKAWA)より、著者が考える筋トレとがんの関連性や、具体的なトレーニング方法などを厳選して紹介します。

※本記事は石黒成治著の書籍『筋肉が がんを防ぐ。 専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』から一部抜粋・編集しました。

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がんとはどんな病態か?

まずは専門医として、がんとは何か?ということをお話ししていきます。

がんは別名で悪性腫瘍と言われますが、悪性=命に関わる状態を引き起こす腫瘍のことです。

腫瘍とは、正常な細胞とは異なる細胞が塊になっている状態です。

腫瘍には命に関わることが少ないもの(良性腫瘍)もありますが、そういった腫瘍は大きくなる速度が非常にゆっくりです。

それに対してがんは、周囲の正常細胞に比べて増殖が早いのが特徴です。

通常細胞の分裂は遺伝子やたんぱく質でコントロールされますが、がんはコントロールを受けないので周りの状況とは関係なく増殖していきます。

細胞の分裂には多くのエネルギーを要しますので、がん細胞の増殖にエネルギーを使われてしまうと次第に正常な細胞へのエネルギー供給が少なくなっていくため、がんが進行するとやせて筋肉がなくなり元気がなくなります(この状態をカヘキシー:癌悪液質と呼びます)。

また悪性腫瘍が大きくなると、臓器が機能しなくなります。

例えば肝臓の腫瘍が大きくなりすぎると、栄養の代謝や毒素の処理ができなくなりますし、肺の腫瘍が大きくなると呼吸ができなくなり酸素不足、呼吸困難を引き起こします。

栄養不足のため、がんに免疫細胞が動員されるために免疫の働きが低下して感染症にもかかりやすくなります。

そのためがんの末期には、肝不全、呼吸不全、感染症などによって命を落とすことになります。

がんの性質は臓器ごとに異なります

ですので肺にできる肺がんと腸にできる大腸がんでは、同じがんでも全く異なります。

そのため症状や経過も全く違うものになります。

例えば膵すい臓ぞうがんや小細胞肺がんは、がんの進行が著しく早く、進行した状態で見つかった場合では、5年生存できる確率はほとんどありません。

それに対して甲状腺にできる甲状腺がんはステージが進んでいても5年生存できる確率は80 %以上あります。

肺がんには喫煙、大腸がんには加工肉(ソーセージやベーコンなど)、胃がんには塩分やヘリコバクターピロリ感染症など、そのがん特有の生活習慣上の危険因子があります。

しかしそれらを避けていれば、そのがんにならないというわけではありません。

進行の早い膵臓がんや肺小細胞がんになりたくないと思っても、何か1つのことに気をつけていればそのがんを避けられるわけではなく、もっと根本的な方法でがんを予防していかなくてはならないのです。

 
※本記事は石黒成治著の書籍『筋肉が がんを防ぐ。 専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』から一部抜粋・編集しました。
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