研究では、偽陽性所見を受けた女性は検査後少なくとも3年間、心理的危害を受けることが示されています(Ann Fam Med. 2013)。
何かの拍子に検査結果を思い出してしまい、がんの心配をしなくてはいけない生活を続けることになるのです。
逆に検診をしたけれども結果は陰性、しかしその後程なくがんが発覚する場合もあります(偽陰性)。
他にも、生検でがんを疑って手術で切除しても、そこにがんが存在しないということも起こり得ます(過剰診断)。
マンモグラフィーの利益と害をまとめたデータがあります(Breast Cancer Res. 2015)。
50歳から20年間、2年おきに検診を受けた場合、女性1000人あたり2~3人の乳がん死亡が予防されますが、15人の過剰診断者が出てしまいます。
全体としての死亡は予防されていません。
検診をすべて否定するわけではありませんが、1~2年に1回乳がん検診を受けているから安心だと考えることは間違いです。
期待することはがんになって早く治療してもらうことではなくて、がんにならないことであるはずです。
がんにならないようにするために何を普段から心がける必要があるかに注目すべきです。