がんになるのは「仕方のない」こと?
国立がん研究センターのがん情報サービスのホームページにはまず以下のような文が書かれています。
「がんは、禁煙や食生活の見直し、運動不足の解消などによって、『なりにくくする』ことができる」けれども、「がんに『ならないようにする』ことはできません」。
このように書かれると、がんになることは運命であり、運であり自分でコントロールすることができないような印象を持ってしまうかもしれません。
がんはすべての人にとって身近な病気であり、ならないようにすることができないものであると断言されてしまって、積極的に予防しようとする人が果たして現れるでしょうか?
前述したように1981年からがんは日本人の死因1位になっています。
そのため国は1984年から「対がん10カ年総合戦略」などのがん対策に取り組み始めます。
そして2006年には「がん対策基本法」が制定され、がん対策のための国および地方自治体の積極的な取り組みが推進されました。
しかしそのがん対策基本法の中心となるのは、がんにならないようにすることよりも、がんになってからどうするか?であって、がんになった人を早く見つけるための検診の推奨や、がんの積極的治療の推進、がんになっても仕事を続けられるような環境整備などが中心です。
それに対してがんの予防に関する記載は、「がんの予防に寄与するよう努める」ようにという指針にもかかわらず喫煙率を低下させることが最大の目標となっています。
喫煙と関連が深いがんは肺がんです。
1960年に約5000人だった肺がんの死亡者は、その後増加し続け、2018年は7万4328人(男性5万2401人、女性2万1927人)になっています。
1960年代の男性喫煙率は80 %を超えていますが、2018年は27 %に低下しています。
喫煙率は減っているのに肺がんは増え続けている。
そもそも喫煙率の低い女性の肺がんが増えている。
そのような状況にもかかわらず、禁煙を積極的に推し進めても肺がんが減少するとは思えません。
本当の意味でがんを予防するための情報が国民に積極的にアナウンスされていないのです。