「終活」レポート「きっかけは?最初にやったことは?」70歳女性に聞きました。

「終活、いつかやらなくては...」と思っている方、いませんか? でも、いつ? どうやって? 何から始めたらいいかわからない、という人も多くいます。3年前に終活を始めた70歳女性に、そのきっかけや現在の思いなどを教えてもらいました。

『毎日が発見』読者モニター・浅見洋子さん(70歳)の場合

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私の場合、こんなふうに終活を始めています

今回お話を聞いた浅見洋子さんは現在70歳。

住宅メーカーの営業事務として16年間働いた後、介護士の資格を取得。リハビリステーションに15年半勤め、2018年9月から24時間対応の有料老人ホームに勤務しています。忙しい日々を送るなか、趣味のパッチワークが楽しみだとか。

現在、73歳の夫と、39歳の長男と一緒に戸建ての持ち家に住んでいます。

終活を始めたきっかけ

始めたのは67歳のとき。お母さまが90歳で亡くなったことを機に終活を始めたそうです。

遺品整理には約2カ月を費やし、それは大変だったといいます。

「車で母の家に通って荷物を自宅に運び、毎日夜中まで1人で片付けました。母は日本舞踊をやっていて、きものも多かったですが、大半は査定で値段もつかず、処分に」

そんな経験から、自分のモノは片付けようと決めたそうです。

1910p074_02.jpgたんす3棹ほどあった遺品のきものは、思い出のあるものを20枚ほど残しました。

最初にやったこと

また、段ボールに3箱ほどあったお母さまの写真を見たときにも、「こういうモノは自分で処分しなくては」と感じ、本格的に終活を開始しました。

まず、中学から結婚前までつけていた日記。ゴミ処理施設に持ち込んで処分しました。青春時代の心の内を書いたものなので、ご主人にも読まれたくなかったそう。

次に身の回りのモノを整理。まだ使えそうな衣類や5枚組座布団、食器などは以前の職場で働いていた外国人職員に譲ると喜ばれました。

「娘の行事で着たスーツや大好きだったワンピースなど、思い出の服はなかなか処分できないんですけどね(笑)」
最近は買い物を控え、モノを増やさない努力もしています。

終活を始める前ですが、2006年に自宅を建て替え、玄関や浴室などをバリアフリーにしたことも、いまとなってはよかったことでした。

「当時は『引き戸じゃなくて、オシャレなドアの玄関がいい!』と抵抗がありましたが、建築士さんに『ゆくゆくはいいですよ』とすすめられて。高齢になってから、病気になってからでは工事中の生活も大変ですし、あのときの決断で安心して暮らせています」

1910p074_03.jpg(左)ずっと欲しかった麻のワンピースは久しぶりに買った1着。(右)引き戸の玄関。

これからやろうと思っていること

身の回りのモノの整理がある程度終わったら、「次は写真の整理、お金と通帳の整理、家と土地の相続について少しずつ考えたい」と、浅見さん。

写真は、お母さまが亡くなったときの整理に労力を使ったので、ある程度処分するつもりだといいます。

延命治療や終末期医療については受けないと決めていて、家族にも意思は伝えてありますが、ご主人は浅見さんに「徹底的に受けさせてあげたい。一日でも長く生きさせてあげたい」と、意見が分かれているようす。

治療行為について自分の意思を記した事前指示(要望)書を作ることも考え始めているそうです。

1910p075_01.jpg今後整理したいアルバム。幼少時からのものが何冊もあるそうです。

いま不安なこと、思うこと

着々と終活を進めている浅見さんですが、不安もあります。現在同居している30代の長男は独身。いずれはこの家と土地を継ぐのか気になっています。

長男は趣味を楽しむため、仕事の合間をぬって海外旅行に出かけることも多いので、家に縛るのも気が引けるといいます。

自分の思いは、折を見て家族に少しずつ伝えてはいますが、仕事や育児に忙しい子どもたちとじっくり話す機会はほぼありません。同じように悩んでいる友人も多いのだとか。

「夫も交えて、これから話さなければいけないことだと思っています」

そして、これから整理しようと思っている写真や洋服など、自分の思い出の品々をどの程度手元に残しておいたらいいのかも模索中だそうです。
「自分のことをきちんと自分で整理して、自然に『ありがとう』と家族に伝えて旅立つことができたら、最高にうれしいですね」

終活を始めて良かったこと、変わったことはありますか?

1 むやみにモノを買わなくなりました。じっくり吟味して気に入ったモノだけを選んでいます

モノを増やさないようにしています。以前は洋服などもよく買っていましたが、最近は「いいな」と思ってもすぐには買わず、厳選して大切に使うように。いまは1シーズンで1着買うかどうか、といったところです。

2 「自分がやらなければ、誰がやるの?」と感じ、元気があるうちに終活を終えることが目標に

自分にとっては大事なモノでも、残された者にとっては不要なモノも多いことに気付きました。「誰かに捨てられるくらいなら、元気なうちに自分で処分した方がいい」「やれるのは自分だけ」と思って進めています。

3 夫や子どものためにも「自分の死に様は自分で決めないと!」と思うようになりました

仕事柄、自分の思いを伝えられないまま亡くなる方も多く見てきた中で、自分のことは自分で決めたいと感じています。入院などをしても気分良く過ごせるよう、衣類や持ち物もきちんと管理・用意しておきたいです。

[終活カウンセラー協会・代表理事の武藤頼胡さんからひとことアドバイス]

「お母さまの死をきっかけに『自分の死に様は自分で決めたい』と思えたことが素晴らしいです。終末期医療や相続も気になっているようですが、終活を始めると漠然としていたことがはっきりします。トンネルの先に明かりが見えてくるのと同じです。人生100年時代をどうやってより良く生きるか、これからも楽しんで終活してくださいね」

取材・文/岡田知子(BLOOM) 撮影/西山輝彦

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<教えてくれた人>

武藤頼胡(むとう・よりこ)さん

終活カウンセラー協会 代表理事。明海大学ホスピタリティツーリズム学科外部講師。「終活」についての大切さを伝えるため、毎月巣鴨、浅草でアンケートを実施中。著書に『こじらせない「死に支度」』(主婦と生活社)。

この記事は『毎日が発見』2019年10月号に掲載の情報です。

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