夫婦や親子、仲が良い友人でも思っていることはなかなか伝わらないものです。実は、その原因は脳タイプが違うからかもしれません。そこで、脳科学者・西剛志先生の著書『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(アスコム)より脳タイプ診断、脳には偏りがある現実など脳が作り出す人との違いをご紹介します。
【前回】脳は思い込みで自然に視野を狭める/なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?
【最初から読む】同じものを見ても脳ごとに認識は違う/なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?
「成功」とよく似ていると思う言葉を5つ書き出してください。
あなたはどんな言葉を書き出しましたか?
達成
繁栄
お金持ち
ファーストクラス
金メダル
世界一......
「成功」からイメージする言葉は、人によって異なります。
なぜこんなに違うのか、次から見ていきましょう。
伝えたくても伝わらないのは、言葉のマップが違うから
あなたが「成功」からイメージしたのは、どんな言葉でしょうか?
成功からイメージされる言葉はいろいろあります。
書き出す言葉は、人によってさまざまです。
家族や友達に、同じ質問をしてみてください。
あなたが想像しないような「成功」に似た言葉が出てくるはずです。
同じものは1つもないかもしれません。
私が行っているセミナーでも、420名を対象に同じ質問をしました。
そして、グループ全員で同じものがあったら1ポイントとカウントし、グループで比較したところ、最高でも1ポイントでした。
つまり、グループ全員で一致した言葉は、たった1つしかなかったのです。
どうしてこれだけ言葉が一致しないかというと、「成功」という言葉から想起することが、人によってまったく異なるからです。
ある人は1つの分野で頂点を極めることかもしれないし、ある人はお金持ちになることかもしれないし、ある人は夢をかなえることもしれません。
ある人にとっては、小さなことでも、何かを完成させるとすべて成功なのかもしれません。
「成功」という同じテーマでも、頭に浮かんでくる言葉が違うのですから、ふだんのコミュニケーションで話がかみ合わないのは特別なことではないのです。
「私のことをわかってもらえない」「あの人のことがわからない」というのは、ある意味、当然のことなのです。
あるテーマに対して頭に浮かんでくる言葉の羅列を、言葉のマップといいます。
言葉のマップが違えば、相手にうまく伝わらないし、相手の言葉も自分にうまく伝わらなくなります。
言葉のマップをつくるのは、私たちのこれまでの体験です。
「成功」というテーマの言葉のマップは、それまでの「成功」に関連した体験からつくられたものです。
「成功」というテーマであればマップは違ったとしても、言葉が1つも浮かんでこないということはないと思いますが、テーマによっては、まったく言葉が浮かばないこともあります。
それは、体験したことがないものです。
例えば、チョコレートを食べたことがない人は、「チョコレートの話をしようか」と言われても、言葉が何ひとつ浮かんできません。
マップは真っ白。
そんな人にチョコレートの味を伝えるのは至難の業。
チョコレートが食べ物なのか、飲み物なのか、甘いものなのか、辛いものなのか、から伝えていく必要があります。
言葉のマップが違うことを前提に始まるのが、コミュニケーション。
そう考えると、伝えたいことが相手に伝わらなくても、相手のせいでもないし、自分のせいでもないことはわかります。
相手は、あなたの言葉を聞いていないわけでも、理解しようとしていないわけでもありません。
言葉のマップが違うから、あなたの言葉のマップと自分の言葉のマップとのすり合わせに時間がかかっているのです。
【まとめ読み】『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』記事リストはこちら!
自分の脳と他人の脳が作り出す違いについて全5章にわたって詳しく解説。脳タイプ診断テスト付き