40~50代になって「老後の孤独」が頭をよぎるなら、「心の自立」が足りていないからかもしれません。そこで、「孤独との向き合い方が大切です」という心療内科医の反田克彦さんの著書『孤独を軽やかに生きるノート』(すばる舎)から、「無自覚の寂しさ」への対処法をご紹介します。
「このほうがよかった」と考える練習
過去にうまくいかなかった経験や出来事を思い出すと、憂うつになりますよね。
嫌なことは、次に嫌なことに遭遇しないための方法を具体的に考える点においてだけ意味があります。
一番いいのは、嫌なこと自体は忘れてしまうことです。
ただ、現実にはなかなかそんなふうにはいきませんから、その嫌な経験をよい経験に変えるメソッドを知っていると安心です。
それは、「(あんなことがあったけど)考えようによってはかえってよかった」と思うことです。
「考えようによってはかえってよかった」は、過去のマイナスをプラスに変える魔法の言葉です。
過去とは現在から振り返ったひとつの評価に過ぎません。
まったく別の見方をすることもできます。
事実を改ざんするわけではなく、その解釈を変えるのです。
自分軸でものごとを評価していきましょう。
最善を尽くしたことのなかに、意味はあります。
「自分はチャレンジしてきた」と思える人は負けを乗り越えて次に進みやすいです。
切り替えが早く、孤独に潰されることはありません。
次にお題を出しましたので「......」の続きを考えてみてください。
これらは一例ですが、いろいろな場面で応用ができます。
【あなたの場合は?】
以下の状況に対して都合のよい続きを書いてみよう
【例題1】
「会社が倒産した。かえってこのほうがよかった。だって......」
【例題2】
「試験に落ちた。かえってこのほうがよかった。だって......」
【例題3】
「酔っぱらって大勢の前で嘔吐した。かえってこのほうがよかった。だって......」
【例題4】
「足を骨折した。かえってこのほうがよかった。だって......」
以下の状況に対して都合のよい続きを書いてみよう(回答例)
【例題1】
「会社が倒産した。かえってこのほうがよかった。だって......」
続き:「あの会社にしがみついていてもしょうがなかった。この倒産をステップアップのよいきっかけにしよう」
【例題2】
「試験に落ちた。かえってこのほうがよかった。だって......」
続き:「あの学校は本当に行きたいところではなかった。やっぱり本当に行きたい学校に行くほうがいい」
【例題3】
「酔っぱらって大勢の前で嘔吐した。かえってこのほうがよかった。だって......」
続き:「これで次からはお酒を飲むように強要されることはないだろう」
【例題4】
「足を骨折した。かえってこのほうがよかった。だって......」
続き:「本当は、もういっぱいいっぱいだった。うつ病になって会社を休むよりこれで休むほうが気楽だ」
失敗を大げさに考えるのは認知の歪み
北野武さんが監督をした「キッズ・リターン」という映画があります。
主人公の男子高校生二人はそれぞれの道を歩みます。
一人はボクシング、一人はヤクザの道です。
二人は一度は成功に近づきます。
ですが二人の成功を嫉んだ大人に邪魔されて、夢破れて挫折します。
ラストは二人が自転車を二人乗りしているシーンです。
映画の冒頭にも同じシーンが描かれていました。
「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかなあ?」
「バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ」
失敗したって立ち直れます。
ひとつの失敗によって人生が終わると考えるのは認知の歪みです。
この映画は監督の北野武さんがバイク事故を起こし、長いブランクを経て復帰した作品でもあります。
事故で人生を失ったと思ったご自身の経験が元にあるのだと思います。
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