あなたの「孤独力」と「集団力」は...?心療内科医が教える「人付き合いを改善するヒント」

40~50代になって「老後の孤独」が頭をよぎるなら、「心の自立」が足りていないからかもしれません。そこで、「孤独との向き合い方が大切です」という心療内科医の反田克彦さんの著書『孤独を軽やかに生きるノート』(すばる舎)から、「無自覚の寂しさ」への対処法をご紹介します。

あなたの「孤独力」と「集団力」は...?心療内科医が教える「人付き合いを改善するヒント」 104-007-072.jpg

人付き合いを改善するヒント

自分にとって心地よい人間関係を築いていくためにどうすればよいかを考えましょう。

参考にするのは、あなた自身の孤独力(孤独を楽しむ力、孤独への耐性)と集団力(集団を楽しむ力、集団への耐性)です。

まずは、孤独力を見てみましょう。

あなたは、一人でいることをどのように感じていますか。


【孤独力】一人でいるときどう感じていますか

A:一人でいるのが好き

一人でいることに積極的な意味を見つける人です。外食も、買い物も、映画も、誰かと行くより一人のほうが気を遣わないので気がラクです。

B:一人でいると人目が気になる

友だちがいないように思われるので嫌です。周囲から否定的な視線を感じます。買い物も、友だちと一緒だといいですが、一人だと店員さんが気になって落ちついて選べません。

C:一人でいると寂しい

一人旅は寂しいので苦手です。心細くなります。人目を気にするわけではありません。


次に、集団力を見てみましょう。

あなたは、何人かの集団でいるときどのように感じているでしょうか。


【集団力】みんなでいるときどう感じていますか

ⅰ:集団でいるのが好き

みんなと一緒に楽しむのが好きです。仲間を作るのが得意です。集団でいても伸び伸びと自分を出せます。

ⅱ:集団でいると同調圧力が気になる

周りの人たちと同じ考えや行動をとらないと浮いてしまうことが苦痛です。みんなでいる喜びより、一人の自由のほうを愛します。

ⅲ:集団になじめない

みんなと一緒にいたいけれど、うまくとけ込めないので、結果的に集団のなかにいると居心地が悪いです。


この孤独力と集団力に関する質問に対して、それぞれ自分に近いと思う回答を選んでください。

孤独力はA〜Cのなかからひとつ、集団力はⅰ〜ⅲのなかからひとつです。

選んだものの組み合わせで、自分の人付き合いのタイプがわかります。

解説をしますので、今後の対人関係の参考にしてください。

とくに前回の記事で孤独レベルが4および5だった方には、人と接点を作ったり、心をラクにするための簡単なアドバイスを載せていますので、役立てていただければと思います。

>私の孤独レベルは?心療内科医が教える「6段階の孤独レベル」はこちら


A-i:一人でいるのも集団でいるのも好きな人

心配ありません。

一人でも集団でも自由に生きていけます。

課長島耕作(その後社長になりました)のような人や、起業家タイプです。

【孤独レベルが4、5の方】
一人でいても不満はないと思いますが、交友関係を広げるとまた新しい世界が見えてきます。

A-ii:一人が好きで集団でいると同調圧力が気になる人

ムリして同調圧力の強い集団に属していることがあります。

「仕方なく耐える」くらいなら、距離を置くほうがラクかもしれません。

今いる集団とは別の、もっと居心地のよい人間関係を作っておくと、逃げ場ができて気持ちがラクになります。

【孤独レベルが4、5の方】
他人の意見に振り回されない一匹オオカミタイプです。趣味の集まりなど、お互いのプライベートにあまり干渉しない集団に入ってみるとうまくいきやすいです。

A-iii:一人が好きで集団にはなじめない人

ムリしてなじまなくてもいいです。

集団内に気楽に話ができる人が一人でもいるなら、その人との接点を維持する意味はあります。自分の時間を大切にしつつも、世の中との接点を保つことを心がけましょう。

【孤独レベルが4、5の方】
孤高の芸術家。人付き合いが苦手でも満ち足りた孤独です。
ただし、まったく人と接しないのは精神的にリスクがあるため、時々はリアルな他者と接するためのライフラインを確保しておきましょう。

B-i:一人だと人目が気になり集団でいるのが好きな人

みんなでワイワイと楽しむのが好きです。

集団でいると元気がいいですが一人になると途端に気弱になります。

一人でいると「友だちがいない人だと思われる」と不安になるタイプです。

ときには集団から離れて一人で行動できるようになると、新しい人生が開けます。

【孤独レベルが4、5の方】
仲間を作るのが得意なタイプなので、たまたま新しい環境になってだ友だちがいない状況なのでしょう。孤独は恥ずかしいことではないし、自立の訓練になります。一人の時間を充実させてみてください。

B-ii:一人だと人目が気になり集団の同調圧力は苦手な人

自己主張が強く見栄っ張りです。

自由に行動したいけれど、周りにどう思われるかが気になって萎縮します。

思うようにならず周囲に不満を漏らすかもしれません。

自分のやりたいようにやるには、周りに同調してほしいと思わないことです。

それでも居場所が得られるなら、そこがあなたのいるべき集団です。

【孤独レベルが4、5の方】
ネット上では友だちが大勢いるように振る舞い、集団の同調性について批判する人もいます。リア充になりたい非リア充かもしれません。
自分の不安に気付き、自分の気持ちに沿って行動できるようになりましょう。

B-iii:一人だと人目が気になり集団にもなじめない人

集団のなかでちょっと浮いています。

自分がムリをしている分、一人で気楽にやっている人をうらやましく思ったり、意地悪な見方をしたりと複雑な思いを抱きがちです。

既存の集団のなかでうまくやろうとするより、一人ずつから気の合う人を発掘していくほうが、合っているかもしれません。

【孤独レベルが4、5の方】
便所飯(トイレの個室で食事を取ること)タイプかもしれません。
一人でご飯を食べている人は友だちがいないわけではありません。歪んだ認知を治すともっと伸び伸び生きられます。決めつけを減らしていきましょう。

c-i:一人でいるのは寂しくて集団が好きな人

女子会系な人です。

人間関係に依存気味なので、誰かと関係性が悪くなったり不愉快な問題が起きたときなどにつらい思いをします。

いざというときに集団を離れられるように自立できていれば、「寂しいから」という理由で集団に縛られなくて済みます。

一人で行動する練習をしましょう。

【孤独レベルが4、5の方】
誰かと気まずくなって集団からはじき出された方でしょうか。
まずはライフラインを確保して、その上で一人を楽しむ練習をしましょう。そうなれば鬼に金棒です。そうしてまた集団に戻って行きましょう。

c-ii:一人でいるのは寂しいけれど同調圧力が苦手な人

一人で心細いのは苦手です。

いちいち空気を読み合うような窮屈な関係も好きではありませんが、見捨てられることを恐れて自然体の自分を出せないこともあります。

まず、一人でいられるようになりましょう。

加えて健全な自己主張(アサーション)ができれば、同調圧力がある集団に属していても自分を失わずに済みます。

【孤独レベルが4、5の方】
素を出して見捨てられるのが怖いので最初から人を遠ざけます。
誰かといても素直に自己表現できず、相手の好意を期待するだけかもしれません。自己主張を恐れないことが重要です。

c-iii:一人でいるのは寂しいけれど集団にもなじめない人

このタイプで現実に孤独でない人は、独特の魅力がある人が多いです。

人が集まりやすい反面、その人たちを振り回してしまう傾向があります。

その傾向があまり強い場合には治療が必要になることもあるかもしれません(ボーダーライン、見捨てられ抑うつ)。

自分を傷つける行為などがある場合は治療が必要になります。

つらい場合は集団に属している必要はありませんので、一人でいる練習をしておきましょう。

【孤独レベルが4、5の方】
無遠慮にプライベートに踏み込まず、優しく見守ってくれる人を見つけるといいと思います。
いざというときの助けになるライフラインのような人です。経験豊かで、ときにはそっと背中を押してくれるようなカウンセラーさんが適任です。


いかがだったでしょうか。

人間関係の作り方には、人それぞれにラクな距離感があります。

自分の傾向や弱点がわかることで、自分に合った人付き合いの仕方を選べるようになります。

将来の不安をてなづけられる「孤独を軽やかに生きるノート」記事リストはこちら!

あなたの「孤独力」と「集団力」は...?心療内科医が教える「人付き合いを改善するヒント」 104-H1-kodokuwokaroyakani.jpgノート式の認知行動療法!5章にわたって書き込み、読み進めていけば、「あなたの孤独」がわかります

 

反田克彦(そりた・かつひこ)
1957年生まれ。あさなぎクリニック・心療内科院長。順天堂大学医学部卒業。山梨大学、HANAZONOホスピタルを経て、あさなぎクリニックを開院。家庭裁判所の嘱託医や山梨県教育委員会産業医などを歴任し、講演活動も多い。精神科専門医、精神保健指定医、医療観察法判定医など多くの学会に所属。著書に『人見知りが治るノート』(すばる舎)がある。

104-H1-kodokuwokaroyakani.jpg

『孤独を軽やかに生きるノート』

(反田克彦/すばる舎)

家庭や職場に居場所がない、訪れる老いが心配…そんな孤独のもととなる拒絶や脱落、喪失といった不安を、「認知行動療法」で軽くしていきます。自分を理解する助けになるチェックリストや書き込み欄も充実。孤独と向き合い、楽しみ、備えるために、役立つ一冊です。

※この記事は『孤独を軽やかに生きるノート』(反田克彦/すばる舎)からの抜粋です。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP