40~50代になって「老後の孤独」が頭をよぎるなら、「心の自立」が足りていないからかもしれません。そこで、「孤独との向き合い方が大切です」という心療内科医の反田克彦さんの著書『孤独を軽やかに生きるノート』(すばる舎)から、「無自覚の寂しさ」への対処法をご紹介します。
不安の度合いで実生活に影響が出る
人は一人でいても不安になりますが、人に突き放されることも不安に感じます。
個人がそういった不安を大きなものととらえている場合、実際の生活に影響が出てきます。
そこで、今自分がどれくらいの強度で他者とつながっているか、見てみましょう。
ここで言っているのは、心の空虚さや寂しさのことではなく、周りにいる人たちと具体的にどれくらい接点を持つことができているかということです。
レベルを0~5の六段階に分け、レベル0〜3を孤独レベルの低い人、レベル4〜5を孤独レベルの高い人とします。
レベルに優劣はありません。
レベル0に近いほど親密な人間関係を築いている他者がいて、レベル5に近づくほど関係性が希薄になるということです。
人間関係では、関係性が濃くなれば自分の負担もそれなりに大きくなるので、人それぞれに心地よいレベルは異なります。
自分が求める関係性と現実の自分がいる位置を確認すると、これからめざしたい関係性がわかります。
レベル0:困ったときに助けてくれる人がいる
窮地に陥ったときに、実際にその解決のために奔走してくれたり、お金を用立ててくれたり、力を尽くしてくれる友だちがいる人です。
こういう人は孤独の定義には当てはまりません。
もっともあまり人に頼るのは気が重いこともありますよね。
もちろん、相手に頼られたらそれに答える必要があるでしょう。
レベル1:理解してくれる人がいる
悩みがあるときに聞いてくれる友だちがいる人です。
こんな人がいれば心強いですよね。
顔を合わせてただ聞いてもらえるだけで、多くの悩みは軽くなります。
こういう友だちが多い人はストレスに強いでしょう。
レベル2:親しい人がいる
悩みについては話せないにしても、ときどき一緒に遊びに行くような親しい友だちがいる人です。
こんな人は幸せです。
おそらく相手も、あなたに深刻な相談を持ちかけることはないので、お互いに気がラクでもあります。
レベル3:会って話す相手がいる
二人で会う約束をして会うような友だちではなく、何かの集まりの際に顔を合わせれば世間話ができるような関係の人です。
知らない人ばかりの会で気づまりな時には、ありがたいですよね。
こういう友だちが大勢いる人は顔が広いと言えます。
レベル4:ネット上には話し相手がいる
リアルに会って話ができる人はあまりいませんが、ネット上には話し相手がいる人です。
こういう友だちが大勢いる人はたくさんの情報を集めることができます。
ただ、その友人関係の深さにもよりますが、ネット上の付き合いだけでなく、顔を合わせる関係の人が少しでもいるほうが生活に安心感があります。
レベル5:家族以外に話し相手がいない
話をする相手が家族以外にいない人です。
そんな状況が長く続いて心療内科を訪れる方々がいます。
引きこもりの人などもそうです。
診察の際が唯一の家族以外の人との会話になります。
そんな方々には、決して焦らず、いずれ社会に戻るための小さな目標を立てていただき、それを超えることをお勧めしています。
自分の位置の見当がついたでしょうか。
世の中が便利になっているので、一人で生きていくことは可能になりつつありますが、相談にのってくれたり、気軽に話ができる人が身近ににいたほうが心が安らぐこともあります。
自分はどのレベルの人付き合いに居心地のよさを感じるのか、これからはどういう人間関係にシフトしていきたいのか、見直していくとよいと思います。
なお、レベル4および5の方は、引きこもりやうつ病を引き起こしやすくなります。
心の健康上、社会と最低限の接点を保つ努力をしたほうが安心です。
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