家族や友達、仕事仲間に頼み事をすると、「何だか悪いな」と思うことありますよね?でも、実は人に頼ることで「人とつながる」と、一人ではできないことに挑戦できたり、ワクワクできたり、自分にも周りにもいいことが起こるそうです。今回は、「人の助けを受け入れる力=受援力」の重要性を説く医師・吉田穂波さんの著書『「つらいのに頼れない」が消える本―受援力を身につける』(あさ出版)から、「人に頼るときの心構えと方法」について連載形式でお届けします。
頼り上手は愛され上手
「助けたい」と思っている人が少なからず周りにいるとわかっても、それでもやっぱり人に頼ることって難しいですよね。私自身も人に頼ることが苦手でしたから、そのお気持ち、よくわかります。
「相手の迷惑になるのではないか」
「仕事ができない人間だと思われるのではないか」
「相手の負担になるのではないか」
「甘えていると軽蔑されるのではないか」
「こんな仕事を押し付けるなんて相手を軽んじていると思われるのではないか」
「相手を利用していると思われるのではないか」
人に頼ろうとしたとき、このようにさまざまな不安が湧き起こりませんか?
そして、誰かの力を借りることが、相手にも自分にもマイナスになるのではないかと感じる人が多いのではないでしょうか。
しかし、人に頼るのが上手な人、つまり受援力が高い人は、好感度を下げずに相手との距離を縮めることができます。
たとえば、こんな受援力エピソードがあります。
子どもが生まれたことをきっかけに転居した知人がいるのですが、同じぐらいの小さなお子さんがいたことがきっかけで、お隣に住むご家族と会話を交わすようになったそうです。
ある日、知人はお隣のお母さんの連絡先が書かれたカードを受け取りました。そこには家族の紹介と一緒にひと言、「困ったときは子どもをお願いするかもしれませんので、どうぞよろしくお願いします」と添えられていました。
それを受け取った知人は、とてもうれしかったそうです。「何かあったら、言ってくださいね」と言葉をかけてもらうだけでもうれしいのに、先に相手から「頼ることになるかもしれないので、よろしくお願いします」というメッセージをもらうことで、相手からの信頼を感じられたからです。
"The best way to find out if you can trust somebody is to trust them."(だれかを信頼できるかを試すのに一番いい方法は、彼らを信頼してみることだ)
とは、作家、アーネスト・ヘミングウェイの言葉です。なんでもかんでも相手の都合を気にせずに頼みごとをするのが、受援力ではありません。
自分の弱みを見せ、まず自分から相手を頼ることで「あなたを信頼している」と伝えられる、それが受援力です。
私たちは自分を信頼してくれる人に対して、悪い感情を抱くことはありません。受援力を磨くことができれば、たとえ付き合いの浅い相手であったとしても距離を縮めることができるのです。
あなたの周りにも、頼み上手な人はいませんか?
その人を思い浮かべてみると、人に上手に頼りながらも、周りの人に愛されているのではないでしょうか。
「この人の頼みならつい聞いてしまう」「もう、仕方がないなあ」と、頼られた側が思う人は、受援力が高いのです。
その好例は......そう、赤ちゃんです。そして、子どもたちです。つまり、私たちも昔は天然の受援力を持っていたのです。
頼り上手は愛され上手でもあります。受援力スキルを磨けば、助けてもらうことで、相手に親しみの感情を抱いてもらうことができるのです。
人に助けを求めることにはどんなメリットがあるのか?基礎知識から受援力が身に付くトレーニング法までを全4章で紹介。自分の性格や考え方の傾向が分かるチェックシートも