夫が故人に...。婚姻前の名字に戻したい場合の「復氏届」をご存知ですか?

大切な人が亡くなったとき、悲しみと慌ただしさの中で多くの人は「何から手をつけていいかわからない」状態になるといいます。そこで、各分野の専門家が手続きやノウハウをわかりやすく解説した「まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド」(クロスメディア・パブリッシング)より、今から知っておきたい手続きや相続のノウハウを、連載形式でご紹介します。

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婚姻前の名字に戻したい場合

故人が亡くなったあと、配偶者や子どもは名字をそのまま残すか、配偶者の旧姓に戻すかを選択することができます。

●配偶者の名字を旧姓に戻す場合は「復氏届」

配偶者が、名字を旧姓に戻したいという場合には、市区町村役場に「復氏届」を提出します。申請の期限は特にありません。

<復氏届の手続き>
期限:なし
手続き先:配偶者の本籍地または住所地の市区町村役場
手続きする人:故人の配偶者
必要なもの:
・届出書
・戸籍謄本(結婚前の戸籍に戻る際は婚姻前の戸籍謄本)
・届出人の印鑑

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●子どもの姓を変えるには別の手続きが必要

復氏届を提出して旧姓に戻ることができるのは、あくまでも配偶者本人だけです。子どもの姓を変更する場合、子どもの年齢によっては本人の意思をしっかり確認してから手続きをしたほうがよいこともあります。

もし子どもの名字を配偶者と同じ旧姓に変更するのであれば、手続きとして家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出し、許可をもらう必要があります。家庭裁判所は、管轄する地域が細かく定められているので、事前にインターネットなどで検索するか、近くの家庭裁判所に電話するなどして確認してください。

<子の氏の変更許可申立の手続き>
期限:なし
手続き先:子の住所地の家庭裁判所
手続きする人:子(子が15歳未満の場合は父母などの法定代理人)
必要なもの:
・申立書
・子の戸籍謄本
・父母の戸籍謄本

そして家庭裁判所の許可を受けたあと、市区町村役場に「入籍届」を提出し戸籍を移すことで、子どもの姓を変更することができます。

<入籍届の手続き>
期限:なし
手続き先:子の本籍地または届出人の住所地の市区町村役場
手続きする人:子(子が15歳未満の場合は父母などの法定代理人)
必要なもの:
・届出書
・子の氏の変更許可審判書
 (子の氏の変更許可申立が許可されると発行される)
・子の戸籍謄本、入籍先の戸籍謄本
・届出人の印鑑

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●名字が変わっても姻族関係は解消されない?

復氏届には姓を変える以外の効力はありません。そのため、復氏届を提出し旧姓に戻ったとしても、故人の親族との関係はそのまま継続します。

もちろん、これは相続にも関係しており、復氏届を提出して姓を変えたとしても、相続には影響は及ばないということです。つまり、婚姻前の姓に戻ったことを理由に相続が受けられなくなることはなく、遺族年金の受給資格がなくなるわけでもありません。そのため、扶養の義務や姻族としての権利も引き続き継続されるということになります。

もし、故人の親族との姻族関係を終了したいと考えるのであれば「姻族関係終了届」の提出が必要です。

<姻族関係終了届>
期限:なし
手続き先:届出人の本籍地または住所地の市区町村役場
手続きする人:故人の配偶者
必要なもの:
・届出書
・死亡事項の記載がある戸籍(除籍)謄本
・届出人の印鑑、本人確認書類

ご高齢の世帯、共働きの世帯、身体に障害をお持ちの方のいる世帯など、諸事情により市区町村役場の窓口に行くことが難しい場合は、行政書士に代行を依頼できます。

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cover.jpg臨終から葬儀までの流れから、相続時の節税のコツまで、各分野の専門家が6章に渡ってわかりやすく解説しています。

 

野谷邦宏(のや・くにひろ)

司法書士・行政書士・1級ファイナンシャルプランニング技能士・相続士・遺品整理士。一般社団法人しあわせほうむネットワーク代表、司法書士法人リーガルサービス代表。全国で相談業務を行い、相続・遺言・遺産整理など幅広く対応。相談対応や受託業務の取扱累計は60,000件を超える。

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(野谷邦宏/クロスメディア・パブリッシング)

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※この記事は『まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド』(野谷邦宏/クロスメディア・パブリッシング)からの抜粋です。
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