「65歳を過ぎたら、働き口を探すのは大変!」と思っていませんか? まだまだ働ける場所はあります。ちょっと探してみませんか? 仕事をすれば、お金が稼げる、社会との接点ができる、空いた時間を有効利用できる、仲間が増えるなど、いろいろな利点があります。働き方や仕事の内容を見てみましょう。
週20時間以内労働で健康的に働く
例えば、週3日、午前中だけ働く。または、夕方から夜にかけて働く。空いた時間を融通して時間帯に縛られずに働くなど、いろいろな働き方があります。自分に合った労働時間、職種を見つけることから始めます。
外食チェーンのすかいらーくでは、75歳までなら働くことができますし、シルバー人材センターでは簡単な仕事から働く場を提供してくれます。
75 歳まで働ける「すかいらーくチェーン」
すかいらーくホールディングスは、2019年1月から本人が希望し、働ける健康状態にあれば、75歳まで働けるようにしました。現在、全国で、65歳以上の男女1800人超が働いています。職種は、フロア、キッチン、清掃などで、希望に合った時間帯、職種を相談の上、決めることができます。特に配慮しているのが、働く人の健康。勤務時間を週20時間未満に抑え、健康的に働ける環境を作ることだそうです。
特に朝が早い方には、モーニングの時間帯の勤務がおすすめ。ファミリーレストランの仕事は、家事の経験も十分に生かせます。人と話すのが好きなら接客(フロア)が向いているそうです。
また、高校生から75歳まで幅広い年代の人が働いているので、70代の方は、孫世代と働けることを喜び、10代の学生は、人生の先輩に親に話せないことを相談できるなど、世代を超えたコミュニケーションを図っているようです。
すかいらーくグループ「ガスト」で、朝の時間帯に働いている吉田嘉子さん( 68 歳)にお話を伺いました。
吉田さんは、土日を除く週5日、早朝の6時から9時までキッチンクルー(料理担当)として働いています。早朝から働くと、1日を有効に使え、早く起きることで健康にも良いそうです。キッチンでは、モーニングの卵料理を作ったり、ハムやベーコンを焼いたりしています。モーニングはメニューが限られるので、比較的仕事がしやすいそうです。お得意メニューは、スクランブルエッグ。フワフワでお客さまに出せるよう、料理を見ておいしそうと思ってもらえるよう、日々工夫しているそう。
「ガスト」で働く吉田さん。
「ガスト」で働き始めたのは、10年ぐらい前。求人募集を知って応募したそうです。朝、4時半に起きて、6時に出社。9時まで働いて、それ以降は趣味のフラダンス教室に通ったり、ボランティア活動をしたりして過ごします。土日は休養日と決めて、家でゆっくりくつろぎます。
年金と「ガスト」で働いた月7~8万円のお給料は、生活費のほか、貯金をしてフラダンスの本場ハワイの旅に使おうと思っています。
「スクランブル、できました!」満面の笑みでできあがりを告げる吉田さん。
生涯現役をサポートする「シルバー人材センター」
働きたい高齢者の就業率を高めるため、「シルバー人材センター」は、「自主・自立、共働・共助」の理念の下、地域の高齢者に就業の機会を提供しています。
ここでは、企業、家庭などから業務を引き受け、それらを請負、委任、派遣、職業紹介の形態で、臨時的かつ短期的な就業(月10日程度以内)、または、そのほかの軽易な就業(週20時間を超えないことが目安)を希望する方に提供しています。
まず、地域のシルバー人材センターに行ってみましょう。会員登録(会費は年2000円程度。地域によって異なる)をする必要がありますが、会員になれば、自分に合った仕事を探すことができます。
現在の会員数は、全国で71万人超。そのうち女性は33%ぐらい。いちば ん多い年齢層は、男女共に70~74歳で、25万人ほどが登録しています。
【資格がなくてもできる家事などの仕事】
●調理・買い物
●子どもの見守り・話し相手安否確認
●家庭内清掃(室内・風呂・水回り)
●植木の手入れ
●除草・植物の水やり
【技能や資格が必要な仕事】
●毛筆で名前や賞状を書く
●介護(介護士資格)
●幼児の保育補助 (保育士資格、教員資格)
撮影/原 務 イラスト/イイダミカ
取材協力/公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会(http://www.zsjc.or.jp/)