【60歳からのリアル】心も体もぼちぼちが一番!ストレスフリーな「老後ぼっち」のススメ

老後資金に「2000万円の準備を...」と言われても、すぐに作れる人はなかなかいません。そこで、社会保険労務士歴20年の岡久さんが著した『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』(自由国民社)から、老後の不安を解消できる60歳からの生き方のヒントを連載形式でお届け。人生のシミュレーション、今こそやるべきです。

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「高齢者の3K(金・健康・孤独)」問題なんてクソくらえ!

巷でよく言われるのが、「金」と「健康」、そして「孤独」の3Kが高齢者にとって危ない要因とされています。

しかし、この3Kは高齢者でなくても、どの世代にも当てはまる危険な要素ですね。敢えて言うなら、若い世代よりも高齢者が陥りやすいと言い直したほうが適切です。つまり、特別な意味もなくごく当たり前のことなのです。

ことほど左様に、定年後や高齢者の生き様についてステレオタイプな議論が延々と繰り返されている感があるのですが、下手に自分自身を当てはめるとミスリードされて、いろいろな場面で悪影響が出てしまうことになりかねません。もっとそれぞれ個人の事情に応じた議論や提言がなされるべきです。

具体的にいうなら、例えば「健康」については、人間60年前後生きてくれば、体のどこかに不具合というのはあるものです。

各部の慢性痛だったり不調だったりですが、60歳を過ぎれば、若い頃と同じような完全な状態に戻れるとは考えないほうがよいのです。

歳をとってから手術をしたり、体質を改善するためにハードなトレーニングしても、その負担が別の病気や不調のもとになったりするのです。

したがって、命の危機に関すること以外は、自分の体とうまく付き合っていくというスタンスが必要なのです。

機能の向上やパワーアップするというよりは、現況の体力や体調の維持、老化を少しでも防止することを最優先するとよいのです。

言葉にすると、「体と相談しながらボチボチ頑張る」という程度がしっくりくるのではないでしょうか。

60歳からは「ぼっち」行動が基本だ!

「人間は一人では生きられない」とよく言われますが、よく考えてみると生まれてくる時も一人ですし、死ぬ時に見守ってくれる人がいても所詮は一人で"三途の川"を渡らなければなりません。

最近では若い人でも「(一人)ぼっち」行動が増えているようですし、一人でいると誰にも気を使う必要がないので精神的にもよいのではないでしょうか。

実際に2042年には65歳以上の高齢者の約23パーセント(男性の約7パーセント、女性の約16パーセント)が独り暮らしになるといわれています。

寂しいことですが、どんなに仲のよい伴侶がいても、同時に亡くなることはほとんどありません。旧知の友が少しずつ旅立っていったり、子どもたちも独立して忙しくなくなり、取り残されたような思いを抱える人もいるでしょう。

だからこそ早めに一人きりの時の過ごし方、孤独を愉しむ心構えを持つことも必要なのです。

「ぼっち」仲間が増えていくと、それに対応する環境やビジネスも活発になり、「ぼっち」生活に順応しやすいようになります。ですから、いまからあまり思い悩んで、無理やりサークルに入会したり、仲間づくりに大して興味もわかない趣味を作ったりする必要もないのです。

「定年後」や「老後」のハウツウ本によく描かれているのが、定年後行き場を失った男性が図書館やサウナ、スポーツジムなどを徘徊する姿です。

自宅にいると妻に疎まれるので外出したいのですが、行き先は公共機関かそれほど費用のかからない場所です。

"サンデー毎日(毎日が日曜日)"な日々を持て余す男性陣ですが、別に恥ずかしがることはありません。

これまでシンドイ思いをしてさんざん家族のために働いてきたのですから、本来なら自宅にずっといても文句を言われる筋合いはないのですが、もし居づらいなら外出先では泰然自若としていればよいのです。

中には「定年退職して、いざ自分の自由な時間を持ったら、付き合ってくれる人が誰もいなかった」という人がいます。

一見寂しく感じるかもしれませんが、会社員時代は時間軸が仕事中心に回る「会社の時間」であり、さらに「上司の時間」であり、「自分の時間」ではなかったということです。

そんな時間を費やすことで成り立っていたのは「仕事による人間関係」で、退職すればたちまち消えてなくなるのも運命だったといえます。

それが定年後、自分の自由になる時間ができたら、それに合わせて生活していけば、自然と「自分だけの人間関係」が構築されていくものです。

つまり、せっかく手に入れた自分の時間を大切にすることから、新しい人間関係が生まれてくるのです。

私の知り合いで、60歳の定年で再雇用や再就職をせずに粛々と退職して、裕福ではないのですが、清貧な生活をしている人がいます。

彼は暇があると、昼間から同じ境遇の仲間と居酒屋に行きバカ話をしているのですが、周りから「いいオッサンが昼間から酒を飲んでるなんて!」という一種の侮蔑の視線で見られることもあるそうです。

その時には、急に話を変えて「あの案件どうなった? 5億円で売れたか? この前の案件は10億儲かったけど...」「あれはチョッとヘタ打って、2000万焦げ付いたよ」なんて投資家風につぶやくと、一瞬にして周りの視線が軽蔑から驚きや尊敬に変わるそうです。それが気持ちよくて、米国風に言えば「(起業家に投資する)エンジェル」を気取ることがよくあるそうです。

彼にすると、そんなちょっとした悪戯で自分の気持ちや周りの雰囲気が変わるので、冗談半分の一種の気分転換のお遊びとして演じているということです。

これはちょっと極端な例ですが、まずは同年代の気の合う仲間と連むか、「ぼっち」で気の向くまま行動することがストレスを溜めずに生活できる第一歩なのです。

2000manen-syoei.jpg誰もが将来不安を覚える「生活、仕事、お金、心、住まい、健康」の6テーマを章ごとに紹介。60歳になると何に対峙しなければならないのか、リアルな状況が理解できます

 

岡久(おか・ひさし)

社会保険労務士。シンクタンク岡事務所、ナイン・ヒル・パートナーズ株式会社代表。人材開発や働き方改革から労務管理までさまざまなコンサルティングを手掛ける。社労士歴&コンサル歴20年以上のプロ、関連分野の著書も多数執筆。

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『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』

(岡久/自由国民社)

「人生100年時代」と言われても、お金に仕事、住まいに健康と不安が多過ぎる!そんな心のざわつきが止まらないあなたのための現代社会サバイバル本。生活のダウンサイジング法や孤独の楽しみ方など、老後資金に2000万円も持っていない私たちがどう生きるべきか、たくさんのヒントを教えてくれます。

※この記事は『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』(岡久/自由国民社)からの抜粋です。

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