「地域密着」「特養」「老健」の違いとは? 介護保険で利用できる施設サービスについて/介護保険

"人生百年時代"を迎えました。誰もが健康で長生きすることを望んでいると思います。しかし、もし自分、あるいは大切な家族が「介護」が必要になったらと思うと不安になってしまいます。そこで、誰もが知っておきたい「介護保険」について介護に詳しい専門家の高室成幸さんにお聞きしました。

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介護保険で利用できるサービスには、在宅で受けることができる訪問系サービスと通所系サービス以外に「地域密着型サービス」があります。この地域密着型サービスと特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの施設が利用できる施設サービスについてみてみましょう。

 
地域密着型サービスには5つの種類がある

地域密着型サービスは、要介護状態になった人などが地元で生活できることを目的に行われており、原則、住民票がある自治体に住む要介護者が対象です。

利用できる時間などによって5つの種類があります。

・日中利用可能...「地域密着型通所介護」、「認知症対応型通所介護」

・夜間利用可能...「夜間対応型訪問介護」

・24時間利用可能...「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

・通所(デイサービス)」を中心に「訪問(ホームヘルプ)」や「泊まり(ショートステイ)」が可能...「小規模多機能型居宅介護」

 

日帰りで施設に通い生活機能訓練などを行う通所介護

日中、日帰りで利用できるのが「地域密着型通所介護」と「認知症対応型通所介護」です。

「地域密着型通所介護」は、定員19人未満の小規模な施設に、地域の要介護者を受け入れて、食事や入浴、その他日常生活上の支援や生活機能訓練などを提供しています。

「認知症対応型通所介護」は、要支援・要介護に認定された認知症の人専用となっており、日中に認知症の人を施設(特別養護老人ホーム、認知症グループホーム)で受け入れて、認知症ケアや生活についてのケア(食事、入浴、排泄等)と相談や助言などを提供しています。

 

通所介護には夜間のみあるいは24時間対応型のサービスもある

午後6時から翌朝午前8時までの時間帯に、利用者宅に来てくれて介護してくれるのが「夜間対応型訪問介護」です。ヘルパーが要介護者宅を巡回して、排せつの介助やおおよそ30分程度の安否確認を行う「定期巡回サービス」、利用者や家族からの通報を受けて、調整・対応する「オペレーションサービス」、利用者や家族が必要とした場合に、随時、訪問して介護する「随時訪問型サービス」の3つを組み合わせて提供しています。

24時間対応しているのが「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。ヘルパーなどが、1日複数回利用者宅を巡回する「定期巡回サービス」、通報を受けて対応するかどうか判断する「随時対応サービス」、訪問の必要性に応じて訪問する「随時訪問サービス」、看護師が訪問して療養上の世話または診療の補助を行う「訪問看護サービス」の4つを組み合わせて提供しています。

 

施設サービスの対象は3つの介護保険施設

施設サービスの対象となるのは、「介護老人福祉施設」と「介護老人保健施設」、そして「介護療養型医療施設(随時、介護医療院に移行)」で、これらの施設に入所した要介護者にサービスが提供されます。

「介護老人福祉施設」は、特別養護老人ホーム、いわゆる"特養"のことで、地方自治体や社会福祉法人が運営しています。入所した要介護者に、入浴・食事・排泄の介護と様々なレクリエーションを提供しています。

「有料老人ホームよりも、利用者が負担する金額が少なく、介護サービスが充実しているので、"終の棲家"として入所したいと希望する人が多いのが実情です。そのためすぐには入所できず、多くの人が待機しているプラチナペーパー状態が続きましたが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居する人も増えたため、地域や施設によっては比較的早めに入所できる流れも生まれています」と高室さん。

特養に入るには、原則、要介護3以上の65歳以上(特定疾病が認められた要介護3以上の40歳から64歳の人も含む)の人が入居条件となっています。ただし、要介護1や要介護2の人でも特例の条件に該当する人は入所できます。特例の条件とは、認知症で日常生活に支障を来すような症状が頻繁にみられること、単身世帯などのため家族などの支援が期待できず、地域での介護サービス等の供給が不十分であることなどです。

「介護老人保健施設」は、老人保健施設、いわゆる"老健"です。国、地方自治体や社会福祉法人、医療法人が主で、一部に社会福祉法人なども運営しています。入院する必要がなく、病状が安定している要介護者に対して、医療や看護、入浴・食事・排泄、リハビリテーションといったケアを提供しています。

特養のような"終の棲家"ではなく、入所期間の3カ月ごとに退所か、入所継続かの判定がされます。病院から在宅へ戻る中間的利用が一般的ですが、在宅生活を継続するために機能が低下した際にリハビリテーションを行って、機能回復を目指す往復型の利用も増えています。また、特別養護老人ホームの「待機組」の利用もあります。

「介護療養型医療施設(随時、介護医療院に移行)」は、常時医療的管理が必要な急性疾患の回復期にある人や慢性疾患をもつ人のために医療に重点を置いている施設です。地方自治体や医療法人が主に運営しています。

 

介護保険施設で払うお金

介護保険施設の入所者は、要介護度別に定められた介護報酬の1割(または2割か3割)と、食費・居住費を支払います。

他に、入所者が特別な居室(個室)または特別な食事を希望した場合の居室・食事費用、美容代、日常生活において通常必要となる費用のうち入所者の負担が適当とされるものなどの費用は、別途支払うことになります。

 

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取材・文/金野和子

 

 

高室成幸(たかむろ・しげゆき)さん

1958年京都市生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒。ケアタウン総合研究所代表、日本福祉大学地域ケア推進センター客員研究員、日本ケアマネジメント学会会員。介護施設、市町村やケアマネジャー団体、社会福祉協議会などを対象に研修を行い、施設マネジメントも手掛ける。『身近な人を介護施設にあずけるお金がわかる本』(自由国民社・監修)、『図解入門ビギナーズ 最新介護保険の基本と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム・監修)、『新・ケアマネジメントの仕事術』(中央法規出版・著)など著書多数。

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