「自宅で介護」を選ぶなら。介護保険で利用できる在宅サービスの種類を解説/介護保険

"人生百年時代"を迎えました。誰もが健康で長生きすることを望んでいると思います。しかし、もし自分、あるいは大切な家族が「介護」が必要になったらと思うと不安になってしまいます。そこで、誰もが知っておきたい「介護保険」について介護に詳しい専門家の高室成幸さんにお聞きしました。

「自宅で介護」を選ぶなら。介護保険で利用できる在宅サービスの種類を解説/介護保険 pixta_38746241_S.jpg前の記事「介護保険はいくらまで使える? 要介護度によって異なる自己負担の割合/介護保険(4)」はこちら。

 

介護保険ではどんなサービスが利用できるのでしょうか。要介護度ごとに利用できる在宅サービスについてみていきましょう。

 

どこで介護保険サービスを受ける?

介護保険サービスでは、どこでそのサービスを受けるかによって利用できるサービスの種類が異なります。

自宅でサービスを受けたい場合は、訪問介護や通所系サービスなどを利用する「在宅サービス」と住民票がある自治体の住民のみが利用できる「地域密着型サービス」があります。

老人ホームなど施設でサービスを受けたい場合は、「施設サービス」を利用できます。介護施設には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設(介護医療院)、介護付き有料老人ホームなどのタイプがあります。

 
在宅サービスには訪問系サービスと通所系サービスなどがある

在宅サービスには、自宅に居ながらサービスを受けることができる「訪問系サービス」と日帰りで利用する「通所系サービス(デイサービス)」、そして利用者を宿泊させてサービスを行う「短期入所系サービス」などがあります。

 

訪問系サービス】
まず、「訪問系サービス」とは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーションのことです。

「訪問介護」は、ホームヘルパーや介護福祉士が家に来てくれて、身体介護、生活援助などを提供してくれるサービスです。身体介護では、入浴、排せつ、食事、起床・就寝などの介助をしてくれます。生活援助では、掃除、洗濯、調理といった日常生活の援助をしてくれます。

「訪問入浴介護」では、家のお風呂では入浴することが難しい人の場合、ホームヘルパーや介護福祉士、看護師が移動入浴車などを使って入浴の介助をしてくれます。

「訪問看護」は、病院・訪問看護ステーション・診療所の看護師・理学療法士などが療養上の介助と診療の補助(医療的ケア)をします。療養上の介助とは、訪問介護と同じように入浴の介助や食事の介助などを指します。診療の補助とは、かかりつけ医師の指導のもと、病状の観察や膀胱洗浄といった身体の清潔を図ることなどを指します。

「訪問リハビリテーション」は、病院や診療所の理学療法士や作業療法士などがリハビリ指導を行います。リハビリは、主治医などがまとめたリハビリ実施計画書に沿って、運動療法、物理療法、温熱療法などの理学療法や応用的な動作能力や社会適応能力の回復を図る作業療法によって実施されます。

 

【通所系サービス】
「通所系サービス」には、「通所介護」と「通所リハビリテーション」があります。

「通所介護と聞いてもピンとこない人も多いと思いますが、いわゆる「デイサービス」のことです。要介護者を送迎バスで施設に送り、入浴・食事などの介護と様々なレクリエーションなどを提供しています。要介護者の心身機能の維持や回復、利用者同士の交流はもちろんですが、家で介護をしている家族の負担を軽減してくれるというメリットもあります」と高室さん。

「通所リハビリテーション」は、デイケアとも呼ばれています。要介護者を送迎バスで施設で受け入れて、リハビリや食事・入浴の介護、各種レクリエーションなどを提供しています。

一見すると、通所介護と通所リハビリテーションは同じように見受けられます。違いは、通所リハビリテーションを利用するためには「主治医(医師)の指示書」が必要だということ。そして、医師からの指示書に基づいて理学療法士などが、利用者の身体機能の維持や回復、認知機能の改善、日常生活の回復を目指したリハビリを行うという点です。

 

【短期入所系サービス】
「短期入所系サービス」には、短期入所生活介護と短期入所療養介護があります。

「短期入所生活介護」は、介護老人福祉施設の併設施設などに宿泊した要介護者に、介護と様々なレクリエーションを提供することで、要介護者の心身機能の維持・回復と家族の介護の負担軽減をしてくれるサービスです。利用日数は、ケアプランに基づいており、連続して利用できる日数は30日が上限です。

高室さんは「短期入所療養介護は、老人保健施設や病院、クリニックの併設施設などに宿泊した要介護者に、医学的管理のもと、リハビリテーションや介護、様々なレクリエーションを提供しています。利用日数は、ケアプランに基づいており、連続して利用できる日数は30日が上限(31日目以降は全額自己負担)です」と話します。

 

次の記事「「地域密着」「特養」「老健」の違いとは? 介護保険で利用できる施設サービスについて/介護保険(6)」はこちら。

取材・文/金野和子

 

 

高室成幸(たかむろ・しげゆき)さん

1958年京都市生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒。ケアタウン総合研究所代表、日本福祉大学地域ケア推進センター客員研究員、日本ケアマネジメント学会会員。介護施設、市町村やケアマネジャー団体、社会福祉協議会などを対象に研修を行い、施設マネジメントも手掛ける。『身近な人を介護施設にあずけるお金がわかる本』(自由国民社・監修)、『図解入門ビギナーズ 最新介護保険の基本と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム・監修)、『新・ケアマネジメントの仕事術』(中央法規出版・著)など著書多数。

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