介護保険はいくらまで使える? 要介護度によって異なる自己負担の割合/介護保険

"人生百年時代"を迎えました。誰もが健康で長生きすることを望んでいると思います。しかし、もし自分、あるいは大切な家族が「介護」が必要になったらと思うと不安になってしまいます。そこで、誰もが知っておきたい「介護保険」について介護に詳しい専門家の高室成幸さんにお聞きしました。

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介護保険では利用できる金額が決まっています。介護が必要になった場合に、いくらまで使うことができるのでしょうか?


介護保険で利用できる金額は要介護度によって異なる

「介護保険は、保険という名前がつくからといって、際限なく利用できるわけではありません。サービスの利用額には限度があり、要介護度ごとに定められた支給限度基準額として定められています」と高室さん。

その支給限度基準額は、その人がどの程度介護が必要なのか、を測った要介護度によって決まります。例えば、ほぼ日常生活は自立しているが、要介護状態となることを予防するための支援や改善が必要とされる要支援1の場合の限度額は低くなります。

要介護状態5のように、生活全般に全面的な介護が必要で、介護なしではほぼ日常生活を送ることができない場合の限度額は高くなります。

 

介護サービスの利用額の1割が自己負担

限度額内でサービスを利用した場合、サービスの1割(所得の状況によっては2割または3割負担となる)の自己負担となりますが、利用限度額を超えた場合は、超えた金額は自己負担となります。

例えば、要介護3の人の支給限度基準額は26万9,310円です。限度額いっぱいまで利用した場合、自己負担額1割負担の人なら2万6,931円、2割負担の人なら5万3,862円となります。

高室さんは「限度額いっぱいまで使っている人は全体の3~4割程度ではないかと思います。やりくりして頑張っている人もいれば、自己負担の1割~3割が払えないから利用できないという人もいます。さらに地域に介護サービスの資源が少ない・利用したいサービスがないという理由もあります」と話します。

●在宅サービスの支給限度基準額と自己負担の割合
在宅サービスの支給限度基準額と自己負担の割合.png 
自己負担割合は所得によって決まる

この介護サービス自己負担の割合は、所得によって決まります。

従来の65歳以上の人の自己負担割合は、年金収入280万円を基準として、280万円未満なら1割、280万円以上なら2割でした。それが2018年8月からは、年金収入340万円以上なら自己負担が3割という新しい基準が加わりました。この年金収入は、単身世帯の場合で、夫婦世帯の場合は、346万円以上で2割負担、463万円以上で3割負担となります。

ちなみに、64歳未満の人は、所得にかかわらず一律1割負担です。

自分の自己負担割合は、自治体から「介護保険被保険者証等」と併せて送られてくる「介護保険負担割合証」で確認することができます。

 

訪問介護や通所介護などでの自己負担額は約2万円

介護サービスを利用する場合、どれぐらいの金額がかかるのか気になるところです。

例えば、要介護3の80代の女性の例でみていきましょう。自己負担割合は1割です。

週2回の買い物や掃除、洗濯のための生活援助の訪問介護と週1回の身体介護の訪問介護を受け、食事、入浴などの日常生活上の支援や生活機能訓練などを日帰りで提供するサービス通所介護に週2回通っています。かかりつけの医師と連絡をとりながら、看護師が家に来てくれて療養生活の手伝いをする訪問看護を週2回受けています。そして福祉用具として、車イス、ベッド、マットレスやベッド柵などの付属品をレンタルしています。

あくまでも目安ですが、これで月額18万5,460円となり、自己負担額は1万8,546円となります。当然、サービスの回数が増えれば、自己負担額も増えていきます。

 

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取材・文/金野和子

 

 

高室成幸(たかむろ・しげゆき)さん

1958年京都市生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒。ケアタウン総合研究所代表、日本福祉大学地域ケア推進センター客員研究員、日本ケアマネジメント学会会員。介護施設、市町村やケアマネジャー団体、社会福祉協議会などを対象に研修を行い、施設マネジメントも手掛ける。『身近な人を介護施設にあずけるお金がわかる本』(自由国民社・監修)、『図解入門ビギナーズ 最新介護保険の基本と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム・監修)、『新・ケアマネジメントの仕事術』(中央法規出版・著)など著書多数。

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