野菜を作ってお金にする! 要介護3でも働ける「仕事付き」有料老人ホームの一日とは

「働く」ことには、生活のためにお金を稼ぐため、生きがいのため、人との関わりのため......といろいろな意義がありますよね。でもふと不安になることはありませんか?
「私っていつまで働けるんだろう?」
近年は高齢になっても介護が必要になっても働ける仕組み作りが進んでいます。そんな取り組みを取材しました。

前の記事「認知症がある人も働ける! 洗車や事務、昼食準備など社会とつながる環境を用意するデイサービス(1)」はこちら。

 

要介護の方々が栽培から販売まで作業

神奈川県藤沢市にある介護付き有料老人ホーム「クロスハート石名坂・藤沢」では、約1年前から経済産業省の「健康寿命延伸産業創出推進事業」の一つとして、東レ建設と共同で入居者に仕事を提供。自立・要支援~要介護3の方が野菜の栽培に取り組んでいます。

1903_p092_06.jpg 

同施設では洗濯や配膳など施設内の仕事をするとポイントがたまり、月に1回、お菓子や日用品などと交換ができるという取り組みをしてきました。そこからさらに"仕事"として踏み出した活動がこの事業です。

「仕事がしたい、夫婦であと5万円あれば生活にゆとりができるというご入居者の方の声があったのが、取り組みのきっかけです」と広報の荒川多恵子さん。

作業は週1回、出勤簿に印鑑を押して農場へ車で移動。農場は東レ建設の「トレファーム」を使用。高床のテーブルは作業がしやすく、テーブルとテーブルの間隔を広くとって車いすでも対応できる環境を整えています。

1903_p092_05.jpg

この日はフリルレタスの苗植えでした。砂に肥料を混ぜてコテでならし、きちんと測りながら20㎝間隔で穴を開けて苗を植え、水をまきます。全て手作業で、時間は30分ほど。他の野菜の育成状況を確認したりして会話も弾みます。

 

1903_p092_04.jpg

帰宅したら、ファイルに作業内容などを記入して終了です。「成長を見ていくのが楽しい」「大きくなれって声をかけながら植えるんです」と皆さん満面の笑顔でした。

収穫した野菜は袋詰め作業をし、スーパーで販売したり、近くの農家レストランへ納入したりして、その売り上げが報酬になります。

「自分たちで野菜を育て販売するまでを通じて、ご入居者に社会に関わる喜びや、生きがいを感じていただきたいと思っています。実際に販売会ではお客さまとの交流が楽しかったという声もありました。共同作業は、連帯感や社会とのつながりはもちろん、手先の運動になり健康長寿にも役立ちます。興味をもつご入居者も増えてきました」(荒川さん)


◆ある日のスケジュール
【10:00 出勤簿を記入】

1903_p092_01.jpg

各自の出勤簿に印鑑を押すので、〝仕事をする〟という意識が高まります。

 

【10:30 車で移動】

1903_p092_02.jpg

車に乗って農場へ移動。乗車する際も、スタッフがきちんとサポートします。

 

【11:00 農作業開始】

1903_p092_03.jpg

「トレファーム」は砂栽培。肥料を混ぜて平らにならした後、苗を植えます。手先を使う細やかな作業に皆さん真剣。自動で水が流れる最新設備です。

 

【12:00 施設へ戻り日誌をつける】
1903_p092_07.jpg

今日はどんな作業をしたか、作業した感想などを日誌に記入します。
報酬:2カ月で1人月2,000円前後(野菜の売り上げ。実労働時間は週1回約30分)

 


■クロスハート石名坂・藤沢
住所:神奈川県藤沢市本藤沢1-10-14
電話:0466-84-3033


 

取材・文/中沢文子 撮影/吉澤広哉

 

 
この記事は『毎日が発見』2019年3月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP