相続のとき、土地の価格がどのように評価されるかご存知ですか? 相続税にも関係してくるので、基礎的な知識を覚えておくと安心です。税理士の坂本 剛先生に教えてもらいました。
【相談】
不動産の相続税がかかるかどうか気になります。相続のとき、土地の価格はどのように決まるのですか? (女性68歳)
坂本先生の【お答え】
相続での土地評価額は実際に取引されている時価ではなく、
「路線価方式」と「倍率方式」のどちらかで算出します。
相続税の土地評価は「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。どちらの方法を選択するかについては、自由に選べるものではなく、路線価で評価できる場所は路線価方式で評価し、路線価で評価できない場所は倍率方式で評価します。
「路線価方式」とは、その土地に面している道路に付けられた価格(路線価)を基準に評価する方法です。路線価は全ての道路には付けられていないため、路線価がない地域の土地は倍率方式で評価することになっています。
路線価は、国税庁が毎年7月に1月1日時点の価格を公表しており、土地取引の基準となる「公示地価」の8割程度の価格です(公示地価は、国土交通省が毎年3月に1月1日時点の価格を公表します。土地の適正な価格の目安になるもので、不動産鑑定士が評価しています)
路線価方式の土地評価額計算式は、「路線価×土地面積×補正率(土地の形状の良し悪しなどにより評価を補正)」です。
もう一方の「倍率方式」とは、該当地域の市区町村が定めた「固定資産税評価額」に一定の倍率を乗じて評価額を算出する方法です。毎年4月ごろに市区町村(東京23区は東京都)から固定資産税の納税通知書が送られてきます。それと一緒に送られてくる課税明細書で評価額を確認することができます。固定資産税の評価額は3年ごとに見直されています。倍率方式の土地評価額計算式は「固定資産税評価額×倍率」です。
自分が相続する土地について、路線価があるかないかは、住所さえ分かれば、国税庁のホームページにある路線価図・評価倍率表で、自分で調べることができます(インターネット以外でも国税庁や税務署で、路線価を確認することができます)。
路線価図で住所地が接している道路に、例えば「300D」のように数字と記号があれば路線価があるということで、このような数字と記号がなければ、路線価がないということになります(300Dの場合、1平方メートル当たりの評価額は30万円です)。
土地の価格は路線価に面積を乗じて計算しますが、土地の価値は形状などにより影響を受けます。そこで路線価に補正率をかけて評価額を低く抑えることができる場合があります。補正率は国税庁のホームページに説明がありますが、さまざまな種類があり、計算が複雑な場合があるので、確認したいときは税理士か税務署へ問い合わせるといいです。
奥行(おくゆき)価格補正率、不整形地補正率、間口狭小補正率などがあり、これらを知っていれば、評価額が下がり相続税が安くなるかもしれません。正方形や形の良い長方形の土地は価値が高く、三角形や台形は利用価値が低いので評価が下がる場合があります。
路線価図に「倍率地域」という記載がある場合には、倍率方式で土地の評価額を計算します。宅地の倍率はその多くが1.1倍となっています。