介護保険を利用しての自宅での介護は、まず市区町村の「要介護認定」を受けてから/在宅介護

介護が必要になったとき、自宅に住み続けながら介護を受けることを「在宅介護」といいます。内閣府の調査によると、在宅介護を望む人は男女とも7割を超えています。今後、親や家族、配偶者、そして自分の介護などに、直面することもあるでしょう。在宅介護を行う上で、どのように介護保険を使ったらいいのか、ケアマネジャーとの関係や家族の関わり方などについて、現役の主任ケアマネジャーである田中克典さんに聞きました。

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●介護保険の介護サービス利用に必要な「要介護認定」とは?

実際に介護保険の介護サービスを受けるためには、どうすればいいでしょうか。国の介護保険制度では、65歳以上を第1号被保険者、40歳~64歳で医療保険に加入している人を第2号被保険者といいます。第1号被保険者を例にとると、65歳の誕生日を迎えると一人ひとりに市区町村から「介護保険被保険者証」が送られてきます。しかし、それを受け取っただけでは介護サービスを利用することはできません。最初に「要介護認定」を受ける必要があるのです。要介護認定とは、その人の介護が必要な程度について、市区町村の確認を受けることです。費用はかかりません。

まず市区町村の窓口で要介護認定の申請をします。申請書類と介護保険被保険者証を提出するのですが、この申請は本人でなくても家族が持って行ったり、地域包括支援センターやケアマネジャーに代行を頼んだりすることもできます。申請すると後日、訪問調査を行うために自宅や入院先の病院などに調査員がやって来ます。基本的には役所の調査員が来訪しますが、なかには役所が委託した民間のケアマネジャーが調査員として訪れることもあります。

 
●自宅に調査員が訪れて聞き取り調査を行う

調査員は全国共通の調査票をもとに、本人の心身の状況など67項目の調査項目について聞き取り調査を行います。「訪問調査にはなるべく家族が立ち会うことが大事です。よく言われるのが、調査員の質問に対して高齢者は『自分はできる』という意識が出てしまうことです。その結果、思ったよりも軽い要介護度に認定される傾向があります。日ごろの生活の様子をよくわかっている同居家族が立ち会うことが望ましいです。一人暮らしの場合でも、なるべく親族が立ち会うようにしてください」と田中さん。家族が仕事などで平日の昼間に立ち会えないときは、平日の夜や土曜日を希望することができます。

<訪問調査を受けるときのポイント>
・ 訪問調査は基本的に家族が立ち会う。
・ 家族の都合を伝えて平日の夜間や土曜日に行うこともできる。
・ 認知症の症状が見られる場合、本人のいないところで家族が症状などを伝える。
・ 認知症の症状や気になる症状がある場合、伝え漏れがないようにあらかじめメモしておく。
・ 病歴なども時系列にまとめておくと伝えやすい。

 
●30日ほどで要介護度が判定される

調査票は全国共通の認定ソフトを使用してコンピュータ処理され、その結果と「主治医意見書」に基づき「介護認定審査会」にて判定が行われます。「主治医意見書」というのは、心身の状況について医師が記入する書類です。入院しているときには主治医に書いてもらうことができます。そうでない場合はかかりつけ医などに頼む人が多いようです。かかりつけ医がいない人は、市区町村が指定する医師の診断を受けて書いてもらうことになります。

介護認定審査会での審査の結果、要介護度は「要支援1・2」「要介護1~5」「非該当」のどれかに判定されます。そして認定結果通知と現在の自分の要介護度が明記された新しい介護保険被保険者証が送付されてくる、というのが要介護認定の流れです。「申請してから要介護度が決まるまでに30日ほどかかりますので、介護が必要になったら早めに申請した方がいいです」と田中さん。

 

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取材・文/松澤ゆかり

 

 

田中克典(たなか・かつのり)さん

1962年、埼玉県生まれ。日本福祉教育専門学校卒業後、東京都清瀬療護園、清瀬市障害者福祉センターなどで介護経験を積む。2000年に介護保険制度発足と同時にケアマネジャーの実務に就く。現在、SOMPOケア株式会社で主任ケアマネジャーとして勤務。著書に『現役ケアマネジャーが教える介護保険のかしこい使い方』(雲母書房)ある。

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