バブルも経済サイクルの1つ。バブルの種類を見極めればチャンスをつかめる/お金の教養

pixta_37854573_S.jpg長く続いたデフレのトンネルから脱しようとする日本。しかし、世の中的に景気がよくても、それを実感できていない人は多いのではないでしょうか? 老後破産や格差社会の不安が広がる昨今、自分を守るために必要なのが「お金の教養」です。

本書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』で、株高時代を逃さず、チャンスをつかむ方法を学びましょう!

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前の記事「株価の変動を読むために身につけたい「織り込み」を読む力とは?/「お金の教養」(9)」はこちら。

 

平成バブルはなぜ起こり、なぜ弾けたか

「バブル」という言葉にネガティブなイメージを抱く人は多いでしょう。しかしバブルは、悪いものではありません。

景気は膨張と収縮の繰り返しであり、膨らんだ風船がいつかしぼむのは当たり前。いかなる好景気も、最後は膨らみ切って、バブルで終わるのです。ただ、膨らんだ風船が小さくなる際の、縮まり方にいろいろあります。うまく空気を逃がすことができればいいですが、ときに膨らんだ風船は割れてしまうことも。収縮が「破裂」レベルの激しい形で起こった平成バブルもまた、長い好景気の末に来たものでした。

長い好景気――それは敗戦後の低迷から立ち上がり、発展を遂げていった高度成長期です。ここでも、 20 年にわたる長い上昇サイクルが続いていたというわけです。上昇の波は、技術革新を伴えば長く続く、と前章でお話ししましたね。

このときの技術革新の主役は、製造業でした。ものづくりに携わる人々がアメリカの技術を学び、アメリカを超えるクオリティの製品を次々に生み出したのです。

ソニーのラジオやテープレコーダー、トヨタの自動車など、多くの日本企業で数々の技術革新が起こり、景気の牽引役を担いました。その矢先、1985年に各国首脳が集まって行われたのが「プラザ合意」。米国の膨大な貿易赤字を解決すべく、為替レートを調整して米ドルを安くしよう、という取り決めです。

結果、急激な円高で一時的に日本の景気が後退。そこで日銀は金融緩和を行いました。結果、金利が5%から2.6%になり、今度は一転、好景気になりました。円高にもかかわらず日本製品の人気は高く、貿易も黒字。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた時代の到来です。

手法は異なりますが、トランプ大統領も今、貿易赤字を解消しようとしています。まさに、歴史は繰り返す、です。1987年には「NTT株公開」が社会現象の火付け役に。公開数カ月で株価が2倍以上も跳ね上がったことが、人々の目を株式投資に惹きつけました。このころから企業も、銀行から借り入れして新規事業に投資するよりも、株や不動産で収益を得るほうがお得、という考えに流れていきます。高度成長期を終えて経済が成熟し、さらなる挑戦をしなくなっていたのです。

お得意様を失った銀行の新たなターゲットは、「不動産を買いたい人」でした。不動産の価値は決して下がらない、という「土地神話」を信じ、個人も企業も土地購入に殺到。日本全国の地価は高騰しました。

1990年、その対策として日銀は金利を6%に引き上げ、急激な金融引き締めを行いました。次いで土地関連の税金を上げるなど、銀行の融資も制限。下がらないはずだった土地の価値は、急激に降下します。

みるみる資産価値が下がる状況に、土地を買った人々は真っ青になりました。今度は一転、慌てて売りに出す人が急増。同様に株を手放す人も続出し、株価も暴落しました。これが、バブル崩壊です。つまるところ、元凶は日銀の急ブレーキでした。拙速かつ急激な金融引き締めのせいで、日本は好景気の山から、一気に谷底に転落してしまったのです。

のちに、欧米各国や中国は、この日銀の金融政策の失敗を参考にして、バブル崩壊をまぬがれたといわれています。今もFRBは急激な金融引き締めに慎重です。

 

前回のバブルと今回のバブルの違い

それから 20 年後、しぼみきった風船を再び膨らませているのが現政権です。政府も日銀も、バブル崩壊のときと同じ失敗はするまいと肝に銘じているはず。金融緩和の出口戦略を考え始めた気配は見られますが、きわめて慎重に行われることは間違いありません。

では、政権とは別に、私たち一般市民が気をつけるべきことはなんでしょうか。株価の上下と同じく、好材料が出尽くしたときに好景気は終わります。その兆しとなるような現象には目を配りたいところです。平成バブルの末期には、ゴルフの会員権や絵画の価格が高騰しました。こうした、「本来、資産価値がさほどないもの」が急騰するのは、終わりが近づいている証拠と見るべきでしょう。

平成バブルと今回のマネーバブルの違いも知っておきましょう。一つは序章で述べた通り、日本だけではなく世界的な現象であること。主役を担っているのはアメリカです。アメリカから始まった金融緩和の影響で、世界中にマネーがだぶついているからです。

ですから、アメリカの好景気に日本も影響されます。将来、ダウ平均が2万7000ドルの壁を突破すれば、日本の株もさらに上がります。一方で、日本の株価だけが上がっていく可能性もあります。アメリカでは、過熱への警戒心がどこまで払拭できているか不透明だからです。調整局面が続けば、過熱への懸念がまだない日本との関係が逆転するかもしれません。

もう一つの違いは、国際的であると同時に「局地的」であることです。前回のバブルは、日本中を席巻しました。列島中、僻地にいたるまで軒並み土地の値段が上がりました。土地だけでなく、あらゆるモノやサービスにも、買い手が殺到しました。

しかし今回は、値上がりするものもあればしないものもある、といった形のバブルです。ポイントが限定されるので、それを見極められるかどうかが勝負どころ。たとえば序章で紹介した食サービスもその一つです。

後ほど他の「狙い目」も紹介しますが、いずれの場合も根拠があります。闇雲に「株は儲かる!」と飛びついて大勢の人が悲惨な目にあった前回の教訓も含め、吟味して向き合いたいところです。

 

次の記事「「大局観」と「中勢観」は株で儲けるための重要な羅針盤!/「お金の教養」(11)」はこちら。

菅下清廣(すがした・きよひろ)

スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。
変化の激しい時代に次々予想を的中させることから「経済の千里眼」の異名をもち、政財界にも多くの信奉者をもつ。『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方〔2018年上半期版〕』(実務教育出版)など著書多数。

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『知らないと損をする!株高時代の「お金の教養」』
(菅下清廣/KADOKAWA)

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この記事は書籍『知らないと損をする!株高時代の「お金の教養」』からの抜粋です
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