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「食サービス」に勝機あり!
ほかにも、日本にはすごい強みがあります。
これから株式投資を始める人なら、絶対に見逃してはいけない強みです。外債、仮想通貨と「いかにもプロの投資術」的な話題が続きましたが、ここで紹介するのは、ごく身近な業界の話です。それは「飲食系」。外食産業をはじめとする、日本の食サービスです。
たとえば、ご存じ「いきなり!ステーキ」などのステーキ専門店を中心に、ユニークな外食サービスを展開する株式会社ペッパーフードサービス。
かねてから日本の食関係企業の株価が上がると見てきた私は、同社の株に2017年の初頭から注目、紹介してきました。その斬新なコンセプトで注目を集め、糖質制限などを追い風とした肉ブームの波に乗り、他のステーキ店を尻目にスターダムへ。そして予想通り、この1年で株価は 10 倍になりました。
このような、 10 倍に跳ね上がる株のことを「テンバガー株」といいます。投資家の世界では、「テンバガーを探せ!」が合言葉のようなもの。そして今、テンバガーをつかむ勝機は「食」にあり。これは、声を大にしていいたいことです。
なぜ食なのか。その理由こそ、先ほどから述べている訪日外国人です。年間2000万人超と 10 年間で3倍以上に増えた外国人観光客が、こぞって日本の食に感動するからです。
名店のみならず、地方であろうと安い店であろうと、美味しいものが食べられる。寿司や神戸牛(コーベビーフ)といった「いわゆる和食」は言うに及ばず、ファストフードもB級グルメも、コンビニの安いサンドイッチでさえ、彼らが日々食べているものより数段美味。このことに皆、驚くのです。
数年前、米テスラ・モーターズCEOのイーロン・マスク氏が新宿の「ラーメン二郎」を訪れ、その味を気に入った、というエピソードが話題になりました。はたまた、IKEA創業者の故イングヴァル・カンプラード氏は「吉野家」のセットメニューがわずか500円で食べられることに感動し、IKEAのレストランも学ばねば、と語ったとか。
そう、こんなにも廉価で美味しいものが食べられる国は、日本をおいてほかにありません。食べ物の衛生面、「安全」に関しても折り紙つきです。庶民が日々食べるものに至るまで、高いクオリティと安全性が保たれ、しかも廉価とくれば言うことなしです。
つまり訪日外国人の増加は、日本の食サービスが世界随一のレベルにあることを、世界に知らしめることにつながるのです。ひいては、その分野に携わる企業の株が軒並み上がることをも意味するわけです。日本では当たり前のことが、外から見ると大きな価値になる。この「外からの視点」も、狙い目を見極めるときの大きなヒントといえそうですね。
ターゲットは観光客に限らない
日本の食の価値は、美味しさだけではありません。「安全」も、海外の基準からは考えられないほどハイレベルです。外国人は自分の国で「卵かけご飯」など絶対に食べません。卵を生で食べたりしたら、絶対に病気になるからです。
近年「食の安全性に難あり」という話題が尽きない中国ではとくに、日本の食材が大人気。中国では汚染された土壌で育ったコメが流通している、といった問題が取り沙汰されるなか、日本産のコメに熱い視線が注がれています。国産の 10 倍も高価格のコシヒカリ(中国では「越光米」と表記されるそうです)が、スーパーで即時完売になる勢いです。
ということは......もうお気づきでしょうか。
わざわざ日本に来てもらう必要はないのです。日本の食品を海外に持っていけば、それもまた、大きなビジネスになるのです。食品だけではありません。日本のサービスも同じく、外国人を感激させる大きな強みです。庶民的な居酒屋チェーンでさえ、スタッフが細やかなサービスを提供してくれる。チップもない。こんなことは海外ではありえません。
海外では、安い店ならサービスも「それなり」です。笑顔ナシ、ガチャンと皿を置かれる、注文を忘れる、ときにはぼったくられることも珍しくありません。とすると、私たちが日々フラリと立ち寄っているお店が海外進出し、高いサービスを海外で実践できれば、人気店になることはむしろ当然とすらいえます。安くて、美味しくて、安全で、ホスピタリティ満点。
日本の外食産業はどの企業も、「スターバックスコーヒー」になれるポテンシャルをもっているのです。「いきなり!ステーキ」も、ラーメンの「一風堂」も、すでに海外進出して大人気となっています。これに追随して100、1000の日本の飲食系企業が、明日のスターバックスを目指すでしょう。
これを踏まえて、皆さんがすべきことは何でしょうか。
食業界の株を買うこと?──半分正解ですが、△です。
より良いのは、「海外進出する前に買うこと」です。
ペッパーフードの株が 10 倍に跳ね上がったのは、ニューヨークに出店した直後でした。事業拡大の前に買う、上がる前に買う。これが必勝法です。
あなたのお気に入りの飲食店の株価を、ぜひチェックしてみましょう。
非上場で買えないこともありますが、企業情報には引き続き目を配り、上場時を狙いましょう。
ちなみにたこ焼きの「銀だこ」で有名な株式会社のホットランドは2014年9月に上場、翌年4月には1000円以上も上げています。焼き鳥の「鳥貴族」も、上場後に大きく株価を上げています。
「最近この店ではよく外国人を見るな」と感じたら、それも「買い」。その人々は、海外に届けられる情報を見て訪れているからです。海外にも評判が聞こえているような店は、海外進出の可能性大いにアリです。
ジャパン・ルネッサンスが来る
外国人の目に魅力的に映るものは、食だけではありません。日本人のファッションは興味深い、という声はよく聞こえてきますし、最近では化粧品なども注目されています。中国人の「爆買い」は家電製品やお菓子やお米だけではなく、化粧品も多いそう。それもドラッグストアで売っているような、いわゆる「プチプラ」製品を大量に買う人が増えています。外食で「安くて美味しいお店」が支持されているのと同じ傾向が、ここにも見られますね。お客は日本に来る人だけではない、という点も一緒です。
中国にいながらにして海外のものが買えるアプリ「bolome(ボロミー)」では、資生堂の化粧品が大人気だそうです。このbolomeのような業態を「越境EC」といいます。この業界、現在中国で爆発的に成長中。日本商品の総売り上げは、中国人によるインバウンドをも超えると言われています。越境ECに参入して、中国市場の開拓を図る日本企業も増えていきそうです。
このように、日本の良さはこれから海外にどんどん伝わっていきます。これまで日本人が当たり前だと見なしてきた、あらゆる商品の品質の良さ、サービスのきめ細かさを、4000万人、6000万人と増えていく外国人観光客が支持し、その情報を自国に広めていくとしたら......。その先にあるのは、日本文化が海外で花開く「ジャパン・ルネッサンス」にほかなりません。
そんな明るい未来に投資しない手はない、と思えてきませんか?そう感じた皆さんのために、次章では、「景気」の過去と現在の潮流について、より詳しくお話ししたいと思います。向こう 20 年使える「お金持ちになれる教養」を、ぜひ身につけてください。