ゴールのない高齢者こそ「夢」を持つべし/老後の不安の9割は無駄

せっかく迎える「第二の人生」、イライラ・クヨクヨしていてはもったいない! 見えない将来に不安ばかり抱き、ひたすら悩みを膨らませているシニア世代のために、より楽にすがすがしく生きていくための心の持ち方を伝授します。

※この記事は『精神科医が断言する「老後の不安」の9割は無駄』(保坂隆/KADOKAWA)からの抜粋です。

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夢を持たないなんてつまらない

「夢を持つ」というと、まるで若い人の発言のようですが、行く先にクリアすべきゴールがない高齢者だからこそ、夢を持って生きなくてはつまらないのではないでしょうか。

学生時代なら受験や進学、卒業や就職といった課題が目の前にあり、それらを達成することで人生の階段を登っていけました。そして社会に出てからは、ひとつひとつ仕事を覚え、厳しい競争の中で精一杯頑張ってきました。

しかし、定年後の世界はまだ何も描いていないキャンバスのようなもの。自分の描く道が拓(ひら)けるのですから、思い切り自由な夢を描いてみたいものです。

世界一周の船旅といった壮大な夢から、大学で学び直す夢、学校の同級生と温泉旅行に行く夢、読みたかった本を読破する夢や、街の居酒屋を食べ歩く夢まで、スケールも種類もさまざまですが、「あれをやってみたい」「こんなところに行きたい」という夢や欲望があれば、人間はいつでも前に向かって動き出せるのです。

 

夢というのは、私たちを突き動かす原動力といえるのかもしれません。

たとえば、「3年後に海外貿易の会社をつくる」と大きな夢を掲(かか)げながら、孫と鳥型飛行機のプラモデルをつくるといった小さな夢もあわせ持っていれば、いつでもワクワク気分が楽しめるでしょう。

もちろん、始めたのにうまくいかなかったり、計画が失敗に終わったりもするでしょうが、老後の仕切り直しは、何度やっても気に病(や)むことなんてありません。トライしてみてだめだったら、次の計画を立てて再スタートすればいいのです。

ただ、何かを始めるときは「必ずこれは成功する」といういいイメージを思い描くようにするのがポイントです。「こんなふうになりたい」「きっとあんなふうになるんだ」という明確なビジョンを持って、スタートを切りましょう。

それでもまだ夢に向かって踏み出せない人には、100歳で亡くなるまで日本映画界をリードし続けた新藤兼人(かねと)監督の「しっかりと助走して、何回でも壁を飛べばいい。そのたびに人は強くなれる」という言葉を贈りましょう。

 

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保坂 隆(ほさか・たかし)

1952年、山梨県生まれ。聖路加国際病院診療教育アドバイザー、保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。慶應義塾大学医学部を卒業後、同大精神神経科教室入局。1990年より2年間、米カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)精神科に留学。東海大学医学部教授、聖路加看護大学臨床教授などを経て、現職。著書多数。

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『精神科医が断言する「老後の不安」の9割は無駄』

(保坂隆/KADOKAWA)

ようやく「第二の人生」を迎えても、先の見えない将来に不安を抱え、イライラ・クヨクヨと悩みばかりを膨らませているシニア世代は多いもの。「何となく」「わけもなく」思い悩むことはもう終わり!これまでのこだわりを捨て、老後の時間を心豊かに過ごしましょう。充実した老後を「楽に」生き抜く秘訣が満載の「シニアのための生きかた読本」です。

この記事は書籍『精神科医が断言する「老後の不安」の9割は無駄』からの抜粋です
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