人生100年時代を元気に楽しく生きるには何が必要なのでしょうか? そのヒントをくれるのが、家電量販店ノジマの店頭で、週4日、制服を着てバリバリと働く81歳の熊谷恵美子さん。60歳定年、65歳まで再雇用というノジマの就業規定をどんどん延長して、80歳を超えてもなお現役で働き続けています。そこで今回は熊谷さんの著書『81歳の家電売り場店員。接客は天職です』より、イキイキと生きるヒントが詰まった彼女の生き方&暮らし方を一部抜粋で紹介します。
※本記事は熊谷 恵美子著の書籍『81歳の家電売り場店員。接客は天職です』から一部抜粋・編集しました。
【前回】認知症の夫を7年介護。それでも私が「仕事」を辞めなかった理由は...
若いスタッフからパワーをもらうことが元気の秘訣
「熊谷さん、お客様が『天丼を食べたいから一緒に行ってくれ』って言うんですけど、どうしましょう」
この前、うちの若い社員が、こう言って私のところに相談に来たんです。
優しいですよね。
「うちは家電を扱っているのでわかりません。下のスーパーに買いに行ってください」
なんて邪険にしないんです。
新人社員だし、おばあちゃんが相手では大変だなと思ったので、「じゃあ、私が行って話を聞いてくるね」とご本人から話を聞き、お店の責任者に断って、1階のスーパーに行って一緒に天丼を探しました。
天丼がなかなか売っていなくて、ぐるぐる探した末にほかのお弁当を買われて、とても嬉しそうに帰られました。
先日は、私のインカムにこんな連絡が入りました。
「付き添いの人と買い物に来られていた高齢者の方が、はぐれて一人になってしまったみたいです。話がよくわからないんで、もしかすると認知症の方かもしれません。熊谷さん、話を聞いてくれますか」
高齢者のお客様の話を聞いていたら、「目を離した隙にいなくなってしまって、申し訳ありません!」と付き添いの人が走って迎えに来ました。
ノジマのスタッフが、保安に連絡を入れていたようでした。
若いスタッフと付き添いの人のほっとした顔を見て、私もひと安心しました。
接客の仕事をしていると、毎日、さまざまなことが起こります。
私は、それが楽しくて仕方がないんです。
なかでも、若いスタッフには、一番力をもらっていると思います。
会社で指示されたことをやればいいというのではなく、温かい接客をしている優しい子たちと仕事ができていることが楽しいですし、そんな若いスタッフから、「年配のお客様のことは熊谷さんに」と少しでも頼ってもらえていることは、何より嬉しいですし、働くパワーになります。
人間関係を良くするのも悪くするのも、言葉遣いひとつだと思います。
私自身が子どもの頃から怒られて嫌な思いをして育ったので、人を怒ることはしたくない。
怒る代わりにどんな言葉を使えばいいかをいつも考えます。
スタッフが疲れているように見えるときは「元気にしてる?」と自分から声をかけるようにしています。
気持ちいいコミュニケーションが取れるように自分から関わっていけば、相手からも気持ちいいパワーが返ってきます。
それが、いつも元気でいる秘訣かもしれません。
もうひとつの元気の秘訣、というより老化防止の秘訣は、月に何回かあるノジマのテストです。
サービスやコンプライアンスに関するテストや、地震などの大きな災害に備えた安否確認テストのメールが定期的に送られてくるので、きちんと期限までに提出しなければなりません。
このテストも、わからないときはすぐに若いスタッフにSOS。
大変ですが、仕事をしているからこそ、新しい刺激を受けられる。
仕事は最高の脳トレです。