人生100年時代を元気に楽しく生きるには何が必要なのでしょうか? そのヒントをくれるのが、家電量販店ノジマの店頭で、週4日、制服を着てバリバリと働く81歳の熊谷恵美子さん。60歳定年、65歳まで再雇用というノジマの就業規定をどんどん延長して、80歳を超えてもなお現役で働き続けています。そこで今回は熊谷さんの著書『81歳の家電売り場店員。接客は天職です』より、イキイキと生きるヒントが詰まった彼女の生き方&暮らし方を一部抜粋で紹介します。
※本記事は熊谷 恵美子著の書籍『81歳の家電売り場店員。接客は天職です』から一部抜粋・編集しました。
定年は80歳。
でも、「元気で働けるなら、何歳まででも」と言われて継続中
2021年10月、私は80歳になりました。
69歳からパートとして勤務してきた家電専門店のノジマは、再雇用のシニアも多く、雇用延長上限は80歳です。
再雇用者の定年は、65歳や70歳の会社が多いなか、ノジマは珍しく長く働ける会社ですが、とうとう私は、その延長上限を迎えてしまったのです。
当時一緒に仕事をしていたイオンモール川口前川店の店長から、「熊谷さん、どうするの?」と聞かれ、私は「定年ですよね」と答えました。
すると店長は、こんなことを言ったのです。
「自分でやれると思ったら続けていいんですよ。社長も、『ご本人が元気で生き生きと働けるなら、何歳まででも働いてもらったらいいんじゃない』とおっしゃっていますから」
驚きました。
自分にできることがある限り、働き続けたいと思っていましたし、私がノジマで働き続けることで、少しでも次に続く人の道が開けたらという思いもあったので、仕事を続けさせてもらうことにしました。
考えてみれば、ノジマの雇用延長上限が80歳と決められ、ニュースなどで取り上げられるようになったのは、2020年です。
それまでは何歳が上限なのか考えもせずに働いていました。
それだけ働きやすい環境だったのだと思います。
でも、80歳を超えてからは、私の予想をはるかに超えることが次から次へと起こるようになりました。
私は、ノジマの80歳以上雇用継続者第一号ということで、雑誌やテレビで取り上げられることになったのです。
80歳を過ぎた女性が家電専門店で働いているのは珍しいらしく、品出しや接客をしていると、「テレビに出ていた人だ」とか、「あ、"ノジマのばあば"だ」と言われることもあります。
"ノジマのばあば"――。
社内で最高齢の私は、そう呼ばれています。
「プレゼント包装は"ばあば"がやっておくから、若い人は接客をして」とか、「お正月の晴れ着は、"ばあば"が着せてあげるから任せて」と冗談交じりに言っているうちに、いつの間にか、"ばあば"が定着してしまいました。
私にとって、店の若いスタッフは孫のようなものですから、"ばあば"がちょうどいい。
「ばあば、お願いします」とか、「ばあば、ありがとう」と言われると、私でも役に立つことがあってよかったと思います。
同年代の友人からは、「本当に元気ね」とよく言われます。
でも私は、特別なことをしているわけではありません。
仕事を続けているから昨日と同じように今日も頑張れるのだし、お客様から「ありがとう」と感謝していただき、店の若いスタッフが励ましてくれるから、元気でいられるのだと思っています。
人生100年時代。
子育てが終わり、本当に辛かった育ての親や親戚との付き合いや夫の介護が終わり、すべての時間を自分で自由に使えるいまは、私の人生のなかで一番楽しく、充実した毎日です。
健康に気をつけながら好きな仕事をできる限り長く続け、自分らしく楽しみたいと思っています。