人生100年時代を元気に楽しく生きるには何が必要なのでしょうか? そのヒントをくれるのが、家電量販店ノジマの店頭で、週4日、制服を着てバリバリと働く81歳の熊谷恵美子さん。60歳定年、65歳まで再雇用というノジマの就業規定をどんどん延長して、80歳を超えてもなお現役で働き続けています。そこで今回は熊谷さんの著書『81歳の家電売り場店員。接客は天職です』より、イキイキと生きるヒントが詰まった彼女の生き方&暮らし方を一部抜粋で紹介します。
※本記事は熊谷 恵美子著の書籍『81歳の家電売り場店員。接客は天職です』から一部抜粋・編集しました。
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お正月にはスタッフの晴れ着を着付け。
「昔取った杵柄」が役立ち、仕事に
ノジマでは毎年お正月に、鎌倉の銭洗弁天(銭洗弁財天宇賀福神社)の霊水で清めた「御浄銭」を新年の挨拶とともにお店でお配りしています。
銭洗弁天とは、源頼朝が巳の年(1185年)の巳の月、巳の日、巳の刻に「この地に湧き出す水で神仏を供養すれば、天下泰平の世が訪れる」とお告げを受け、湧水を探し、財をもたらす「宇賀福神」を祀って創建した神社だそうです。
銭洗の風習は、同じく巳の年(1257年)に鎌倉幕府五代執権の北条時頼が銭を洗って、一族の繁栄を祈願したことが始まりだとされています。
お正月に「御浄銭」を配るようになったのはいつ頃からだったのか覚えていませんが、いまでは、毎年社員数名が巳の日に鎌倉の銭洗弁天に参拝し、たくさんの五円玉を霊水でお清めするそうです。
イオンモール川口前川店では、お正月の初売りを盛り上げるために、女性スタッフが晴れ着を着て、「御浄銭」を配ります。
「熊谷さん、着付けができるんですよね。お正月、手伝ってくれませんか」と声をかけられて、もう6、7年続いているでしょうか。
お正月に晴れ着を着る店舗はほかにもありますが、着付けを手伝っているのは、間違いなく私が最高齢です。
「昔取った杵柄」という言葉がありますが、若い頃に身につけたことは忘れないもの。
呉服店を営む親戚の家で育てられて辛い思いもしましたが、着付けの技術があることで、いまでも人の役に立てるのですから、ありがたいことです。
新型コロナウイルス感染防止のための自粛が2年続き、ようやく規制が緩和された2022年の年末は、お客様が一気に増え、本当に忙しい毎日でした。
クリスマスプレゼント、お歳暮・お年賀の数も膨れ上がり、品出しの数量も相当でしたが、贈答用の包装も手が足りないほどでした。
31日大晦日の仕事が終わったときは、もう体力の限界。
それでも翌日の元日は、着付けのために頑張って7時半に店に入りました。
新年というのはやはり一つの区切りなので、毎年、着付けのお手伝いが終わるたびに、「次の新年の着付けを手伝ったら、ご迷惑になる前に辞めようかな」と考えてきました。
でも今年は、「仕事が忙しくて大変!」と言えるほど、私を必要としてくれる人がいることに感謝して、もう、来年のことは考えないことにしました。
ただ、毎日を精一杯生きること。
誰かのために自分ができることを毎日、丁寧にやっていくこと。
それが一番大切なことだと思います。