体が動かなくなってから死ぬまで...いくら必要? 逆算して考えたい「おひとりさまの老後」の貯蓄額

70代を迎え、一人暮らし歴40年を超える生活研究家の阿部絢子さん。「一人暮らしをようやく面白がれるようになった」とつづられた阿部さん著書『ひとりサイズで、気ままに暮らす』(大和書房)から、この先の人生できっと訪れる「一人暮らしを楽しむコツ」をご紹介します。

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老後のお金に不安を感じたら?

ひとり暮らしを確かなものとするには、とにかく経済的自立が欠かせない。

先日、これまで働いて定年を目前に控えるという人から質問があった。

「私は来月から月11万の年金生活に入るが、年収が少なく、今後とも働き続けなければならないと思うと不安です。貯蓄も2千万ないと余裕のある暮らしはできないと巷では言われています。年金が少なくても、楽しく暮らせるアドバイスをお願いします」とのこと。

私の答えは、「不安がる前に、自分の暮らしについて分析を。どんな暮らしをしたいか、どのように経費をかけるかを考えて、いざというときの積立などを把握すること。私の場合は年金月5万だから、働いて暮らすしかないのと、幸い働くのが好きだから、身体が動くうちは働く選択をしている」である。

その後、私の本を読んだその方からは、「本の中に、70歳で3千万の貯蓄をしておきたいと書いてあり、う~んと目が止まり、かえって不安になった」と返事があった。

経済的自立の価値観は人それぞれだが、その方も含め、最近、単純に貯蓄額だけを直視しがちではないだろうか。

私が考えた貯蓄金額の3千万とは、「身体がまったく動けなくなってから死までに必要な金額」である。

死までにかかるお金さえも自分で確保した完全自立をしたいと私は考えたからだ。

この数字は、友人の母親が寝たきり状態になり死に至るまでの金額から計算したものだ。

10年間で一千万だったという。

この死までの経済については、いつ、どうなるかなどわからないことであるから、誰しも考えたくはないものだ。

しかし、経済的自立を目指すのなら、考えなければいけないことでもある。

こうした情報は、とかく金額だけがひとり歩きしてしまっていると私は思う。

情報の条件を見落としがちなのではないだろうか。

数字だけではなく、背景を考え、活かせる情報か、活かせない情報なのかを見極めることが大事なのだ。

それには自分にとって都合のいい情報だけでなく、不都合な情報も合わせて見極め、その上で判断すべきである。

先ほどの方の場合、年金が月11万なら寝たきりでも貯蓄金額は2千万もいらないと思う。

私の場合は月5万だから必要なのだ。

私が考える経済的自立とは、死までの経済のことを指している。

この先には定年後の夢物語だけがあるのではなく、「生老病死」が、つまりここから先には老病死が待ち受けている。

これを忘れたくはないし、その上で楽しい暮らしをしていければいいと思っている。

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110-H1-hitorisaizu.jpg生活、心構え、老い支度など5つの視点から、著者の経験をもとにした一人暮らしのコツが提案されています

 

阿部絢子(あべ・あやこ)
新潟県生まれ。生活研究家、消費生活アドバイザー、薬剤師。共立薬科大学卒業。百貨店の消費生活アドバイザーとして30年間勤め、現在に至る。料理をはじめ、家事など生活全般にわたる豊富な知識と合理的なアドバイスで、出版・講演など幅広く活躍。70代になった今も、年に一度海外にホームステイで出かけている。

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『ひとりサイズで、気ままに暮らす』

(阿部絢子/大和書房)

老後の一人暮らしは寂しそう…と思ってませんか?それは、あなたの考え方、過ごし方次第で全く違う景色に変わります。40年間の一人暮らしを通して今、充実した生活を続けている著者が思う5つのコツ。年を重ねても老けこまず、自分らしくあるための指南書です。

※この記事は『ひとりサイズで、気ままに暮らす』(阿部絢子/大和書房)からの抜粋です。
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