いつか訪れる「おひとりさま」に備えて。キャリア40年の生活研究家が語る「快適な一人暮らし」

70代を迎え、一人暮らし歴40年を超える生活研究家の阿部絢子さん。「一人暮らしをようやく面白がれるようになった」とつづられた阿部さん著書『ひとりサイズで、気ままに暮らす』(大和書房)から、この先の人生できっと訪れる「一人暮らしを楽しむコツ」をご紹介します。

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"快適な暮らし"ってどんな暮らし?

ひとり暮らしはラクで気ままだ。

しかし気ままが行き過ぎると、誰にもチェックされないがゆえにひとりライフは暴走しかねない。

満喫するには、まずは暮らしを快適に整えることから始めよう。

ひとり暮らしの仕方は千差万別。

ひとり世帯数と同じ数ほどの暮らしがある。

同じ地域、同じ年齢といっても、その暮らしは一様ではない。

違って当たり前だと私は思う。

暮らし方は違ってよいのだが、いろいろな人に求める方向を聞くと、あれ、みんな同じようなものを求めている、と思ってしまう。

「快適な暮らし」である。

病気でも、経済的なゆとりがなくても、暮らしは快適にしたいと、多くの人が思っている。

では、現実に快適な暮らしをしているかと聞くと、多くの人が叶えられていない、と答える。

う~ん、どうしてか。

もしかしたら、暮らしのことなどほとんど考えていないのに、理想だけは掲げている......ということかもしれない。

とりあえず住める、とりあえず眠れる。

暮らしなんてそれができていればいい、仕事に比べたら大した問題でもない、忙しくてそんなことどうでもいい、などというのではないだろうか。

つまり、みんな暮らしに対する意識が希薄なのだ。

自分の暮らしや生活なのだから、もう少し丁寧に考えるといい。

特にひとり暮らしは、家にいる時間が年とともに長くなると、気分の切り替えがしづらいからこそ、家を居心地のいい場所に整えておきたい。

苦手なことほどしくみ化しよう

海外暮らしをしていた友人の家に行ったときのことだ。

せっかくの海外の広いキッチンカウンターの上に、メモ用紙、予定表、料理レシピや切り抜き、チラシ、新聞などの紙類が散らばっていた。

私は、もっと広々させると気持ちがよかろうと思い、私のバロメーターでカウンターの上を片づけてしまった。

もちろん、勝手に捨てるのではなく、ファイルして整えた。

そうしたら、「あの散らかりで、私はどこに何があるかがわかるのよ」と怒られてしまった。

たしかにそういうタイプの人もいると思うので、勝手に片づけてしまったのは悪かったなと反省したが、いま思うと、もしかしたら彼女は整理できていないことを私に責められたと感じたのかもしれない。

誰しも本当は、快適が好きなはずだ。

でも、この快適をうまく自分で作り出せない人だっている。

誰にでも得手・不得手があって当たり前だからだ。

それなら自分の得手・不得手を見極め、どうしたらうまくできるか考えて、しくみをととのえるといい。

苦手なことほどしくみ化すべきなのだ。

しくみにしてしまえば、ちょっとの労力ですませられる。

浮いた時間も労力も、ほかのことに使えるのでいい。

私は、家事の中でも掃除が苦手なので、負担にならないしくみを作った。

まずは水回りのしくみ。

シャワーのときは、絶対に立ちシャワー禁止にした。

というのも、シャワーは立って使うものだと多くの人が考えていると思う。

私もかつてはそうだった。

だが、立ってシャワーを使うと、浴室中に水滴が飛び散る。

これは、水分が残って浴室全体をカビにする元だ。

浴室中に飛び散った水滴をすべて取り除くのは至難。

そう考えたときに気がついたのが、座ってシャワーをすると、座った範囲内に水滴が残るだけなので、とても始末がラクになるということだ。

座っている周り60㎝ほどの高さの水滴を取り除けばいいしくみ。

シャワー使用後、スクィージーで水滴を上から下へと落とし、排水口へと移動させる。

さらに、そのあとをマイクロファイバークロスで拭き上げる。

5分とかからないのだが、ここまで丁寧に水滴除去をすれば、20年間カビ知らず。

もう一つはトイレ。

使用後は必ずボール内をブラッシングしている。

ここだけは一生懸命。

その他、水受けや便座などは月1回の拭き掃除だけでいい。

居室の床は隅にホコリがたまりやすいので、気がついたときにハンディタイプのブラシとチリトリでサッと掃いておく。

そうすれば、頻繁に掃除機をかける必要がなくなる。

衣類については脱いだ後のしくみと場所が肝心。

洗面所をドレッサー場にして、脱ぎ着し、シミがあればその場ですぐに取り除く。

風を通しブラッシングして、しばらく吊るして寝かせた後、クローゼットにしまう、これが一連のしくみ。

わざわざ衣類を手入れしようという時間は持っていない。

また、服の繊維が落ちるのが洗面所だけになるので、掃除もラクになる。

しくみを作るのは簡単だ。

自分にとって気持ちよいしくみができれば、生活の快適性はすぐに手に入り、家の居心地がよく、暮らしが楽しくなる。

負担にならないしくみで家事をラクに

●居室

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部屋の隅などホコリがたまりやすいところは、気がついたときにブラシとチリトリでささっと掃いておく。

これだけで、掃除機をかける回数を1〜2週間に1回に減らせる。

キッチンや猫のエサのまわりも同様に。

●トイレ

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使用後は便器内をスウェーデン製ブラシでひとこすり。

洗剤はめったに使わない。

その他の箇所は月1回の掃除でいい。

たたんだトイレットペーパーにアルコールスプレーを吹きかけ、便座まわりを拭く。

再度ペーパーで床面や壁を拭いて終了。

●風呂

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シャワー後は壁や鏡についた水滴をスクィージーで排水口に落とす。

マイクロファイバークロスで鏡やパッキンを拭く。

水滴が水アカやカビの元になるので、しっかり取り除くと洗剤いらずでカビ知らず。

●洗面所

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着替えはすべて洗面所で。

繊維のホコリが落ちるのが1箇所になり、掃除がラクに。

帰宅後は脱衣所に服を吊るし、ごみや汚れを落として風を通しておく。

衣類の特別な手入れをする回数も減る。

イラスト/くぼあやこ

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110-H1-hitorisaizu.jpg生活、心構え、老い支度など5つの視点から、著者の経験をもとにした一人暮らしのコツが提案されています

 

阿部絢子(あべ・あやこ)
新潟県生まれ。生活研究家、消費生活アドバイザー、薬剤師。共立薬科大学卒業。百貨店の消費生活アドバイザーとして30年間勤め、現在に至る。料理をはじめ、家事など生活全般にわたる豊富な知識と合理的なアドバイスで、出版・講演など幅広く活躍。70代になった今も、年に一度海外にホームステイで出かけている。

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『ひとりサイズで、気ままに暮らす』

(阿部絢子/大和書房)

老後の一人暮らしは寂しそう…と思ってませんか?それは、あなたの考え方、過ごし方次第で全く違う景色に変わります。40年間の一人暮らしを通して今、充実した生活を続けている著者が思う5つのコツ。年を重ねても老けこまず、自分らしくあるための指南書です。

※この記事は『ひとりサイズで、気ままに暮らす』(阿部絢子/大和書房)からの抜粋です。
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