「いまの自分に合わせて、暮らしを変化させてきた」という料理研究家の村上祥子さん。終活を踏まえた暮らしぶりを教えていただきました。
見える収納を実践。思い出の品は上手に活用
「捨てられないものは壁に飾って部屋の彩りに。見るたびに、にっこりほほ笑んでいます」。亡きご主人の部屋で。壁に飾られた右上の額は、結婚50周年の記念にご主人と村上さんの似顔絵を描いてもらったもの。
「人生を歩んでいく。それそのものが終活!」と話すのは、定期誌『毎日が発見』の「村上祥子のおいしい! 健康! レシピシリーズ」でおなじみの料理研究家・村上祥子さん。日々を快適に過ごすため、"物を持たない暮らし"を心がけているそうです。
「使うものは全て見える収納です。洋服は10着だけ。全てハンガーにかけてつるしています。キッチンも、よく使う道具だけを手を伸ばせば届くところにつるす、置く。コンロも一つだけ。食に関するものは、乾麺も米もワインオープナーも、全部冷蔵庫の中に収納しています」
週1回は生活スペースを見直す村上さんですが、捨てられないものもあります。
「亡き母の嫁入り道具の桐のタンスには、旅行用ポーチやカクテルバッグなどを入れています。教え子や孫からもらったカップや道具も捨てられません。食器はちぐはぐでも使い続けます。孫や家族の写真は、夫の仏壇の周りにピンナップ。孫の成長ぶりを喜んでもらいたいのです」
はがきや手紙などは、年月ごとに200枚ずつ、布張りバインダーにストック。
物を増やさない工夫もしています。新聞は、読んだら自身の掲載記事を切り抜き、そのほかは見開き一組にしてスタジオのキッチンでストック。
揚げ物の油吸い取り紙などに活用します。サンプル品などは、先方が気分を害さない程度に断る心がけも。
仕事面では、74歳のときに50万点という膨大な料理資料を、公立大学法人福岡女子大学へ寄贈。これを機に、仕事場を整理してコンパクトにしました。
シンプルな暮らしを続けるには、しっかりした食事も大切だと村上さん。
「最後までさりげなく行動するには体力キープが必須です。そのため、もりもり食べる"食べ力"が必要」
意識が働いたときこそ、終活に取り組むチャンス。できることから始めてみましょう。
休日は鏡の前でファッションショー。
休日は、鏡の前で洋服のコーディネートを考えるのが楽しいのだそう。
洋服もパジャマも繕って、すり切れるまで着るのです
洋服もパジャマも繕いながら、すり切れるまで着ます。買い換えると決めたら、品質が良く、どこに着て行っても見栄えのするものを選びます。
40年間使い続けるキッチン戸棚。色も当時のまま
スタジオにあるペパーミント色のキッチン戸棚は、大分で特注したもの。何度引っ越しを繰り返しても、40年間ずっと一緒です。
村上さんの終活スケジュール年表
取材・文/笑(寳田真由美) 撮影/江口 拓(スタジオCOM)