年金がもらえるのは75歳から、厚生年金をもらえる人が増える...これから予想される年金改革

1810p063_01.jpg親世代、子ども世代のどちらにも関わりが深い年金制度。少子高齢化が進行していく中で、私たちに支給される年金額は減っていくのか、子ども世代が将来、年金をもらうころには年金制度はどうなっているのか、気になる人も多いでしょう。年金制度の現在とこれからについて大和総研研究員の佐川あぐりさんに聞きました。

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前の記事「50代以上は働けるだけ働く。下の世代は年金を増やす工夫をしていこう!(1)」はこちら。
 

年金改革で注目されている三つのこと

政府で議論されている将来の年金改革の三つの項目について見ていきます。一つ目は「年金の受給開始年齢の柔軟化」です。現在、年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳までの繰り上げや、70歳までの繰り下げを選択することができます。今後、労働人口がさらに減少していくことを考え、繰り下げ年齢の限度を現在の70歳から、75歳まで引き延ばせるよう見直しが検討されています。

「健康寿命が延び、65歳以上でも元気な人が多いです。年金給付を遅らせて手厚い年金で老後を楽に暮らせるようにと働いている人もいます。いま仕事をしている人は、できるだけ長く働き続けた方がいいでしょう」(佐川さん)

二つ目は「在職老齢年金の見直し」です。在職老齢年金とは、60歳以上の厚生年金受給者が働きながらもらう年金のこと。賃金(賞与も含む)が一定以上になると、厚生年金の一部または全部が削られます。国は、少子高齢化による人手不足解消のために、健康な60歳以上の人に働き続けてほしいと考えています。その際、在職老齢年金のせいで受け取る年金が減り、労働意欲が下がることを懸念して、見直しを検討しているのです。

「その一方で、在職老齢年金のおかげで抑制できていた分の財源が必要になります。マクロ経済スライドが長引いて、子ども世代の年金額が減る可能性もあるのです」(佐川さん)

三つ目は「厚生年金加入条件の適用拡大」です。2016年10月以降は、これまで厚生年金加入の対象ではなかったパート勤務の人などへも厚生年金の適用が拡大されました。今後は「月額賃金8万8,000円以上」という金額の条件を引き下げるなど、さらなる緩和が提案される見通しです。「短時間労働者にも厚生年金を適用し、年金額を手厚くすることで年金財政の安定化につなげたいと、国は考えています」(佐川さん)

 

 
「これから起こる」または「議論されている」三つの改革の概要

○年金受給開始年齢の柔軟化
60歳を過ぎても働く人が増えて、65歳以上の人を「高齢者」と捉えるのは現実的ではなくなってきています。年齢による区切りを見直して、年金の繰り下げ受給が70歳以降でも可能となるような、柔軟で使いやすい制度への改善が検討されているのです。

○在職老齢年金の見直し
今後は少子高齢化がますます進み、その影響で労働人口の減少が見込まれていています。60歳以上の厚生年金受給者が働きながらもらう「在職老齢年金」の減額幅を縮小し、働いても年金が減らされにくい仕組みを作り、高齢者の労働意欲を引き出すことが議論されています。

○厚生年金加入条件の適応拡大
厚生年金への加入条件は2016年から徐々に緩和されてきました。保険料は労使折半で、加入すれば老後の年金をその分、手厚くすることができます。人手不足の近年では、福利厚生の一環としても捉えられているようです。さらなる適応拡大が2019年秋までに議論される見込みです。

 

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取材・文/松澤ゆかり イラスト/オオノマサフミ

佐川あぐり(さがわ・あぐり)さん

大和総研研究員。2006年入社。政策調査部勤務。年金制度が専門。日本証券アナリスト協会検定会員。

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この記事は『毎日が発見』2018年10月号に掲載の情報です。

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