なんだかうまくいかないあなたに、ベストセラー作家・坂東眞理子さんが伝えたいことは「自分がどうありたいか」を真剣に考えた方がいいということ。今回は、坂東さんの新刊『「自分」を生きる~上手に生きるより潔く~』(あさ出版)から、生き方に迷ったときに道しるべとなる珠玉のメッセージをお届けします。
完璧な人間はいない
大人になると、自分が天使のような善良な人間ではないことに、たいていの人が気づきます(もちろん、善意にあふれ自分のことを計算に入れず、思いやりのある素晴らしい人もいらっしゃいますが、とても稀です)。
自分の心の底を覗いてみると、様々な面を持っていることに気づくでしょう。
他人の幸せや成功を妬む心の狭さ、ちやほやされると図に乗る軽はずみなところ、思うとおりにならない時や失敗した時に落ち込んでいじけるところなど、「嫌な」側面もあるはずです。
私もそういう短所をたっぷり持っている「嫌な奴」、仏教でいう煩悩の塊です。
おそらく私だけではないでしょう。
ほとんどの人が思いやりのあるやさしい素敵な面と嫌な面を持っているはずです。
若い時の私は、自分の嫌なところをつい出してしまって相手を傷つけてしまい、気まずくなって落ち込んだ経験は、数えられないくらいあります。
そのたびに、「自分はなんて未熟な嫌な奴だろう」と自己嫌悪に陥っていました。
嫌な面を隠そう、ありのままの自分を出さないようにしようと、いい人を演じているうちに疲れてしまい、その反動から、近しい友人に「聞いてよ。あの人って表面だけうまく取り繕って振る舞っているだけで、本当はひどい人で......」などと話してストレスを発散させたこともあります。
でも、どんなに吐き出してもスッキリすることはありませんでした。
むしろ大事な友人に対して私のイメージを下げてしまっただけ。
本当に後悔しています。
でもだからこそ、気づいたのです。
モヤモヤを話したからといって状況が解消されるわけではないこと、それどころか、醜い感情を表に出すことによって自分でも明確にその感情を認識せざるをえなくなり、相手を不快にさせたり、誤解を与えてしまったりと、散々な結果になること。
ストレスを発散できて気分がスッキリなんてことはありえないこと。
そして、自分の胸の奥にしまっておくほうが嫌な感情がおとなしくなり、消えていくということなど。
完璧な人間はいません。嫌なところをなくすことはできません。
自分のありのままを、嫌な部分を含めて受け入れ、そのうえでコントロールする。
それが、大人のたしなみです。
嫌な部分を認めたうえで社会的演技を習慣にする
自分をコントロールするとは、ありのままの感情が暴れ出さないよう練習することです。
「なんて嫌な奴だ」と思っても、面と向かって相手を批判したり、嫌昧や皮肉を言わず、「なんであの人ばっかりうまくいくのだろう。いいなあ」「悔しい、なんで私でなくあの人が選ばれたの」などと思っても、「よかったわね、おめでとう」と相手を祝福することを習慣にします(そのうち、なんで腹が立ったか忘れてしまいます)。
こうした、いわゆる「社会的演技」を習慣にしていくことで、「私もちゃんとした大人として振る舞えるんだ」と少し自信がつきます。
本当はいい人でなかったとしても、「素敵ないい人」の振りをすればいいのです。
はじめはどうしても「ありのまま」の「本当の自分」が出そうになりますが、少しずつコントロールできるようになります。
そして、「いい人」として振る舞えたら「よく頑張った」と自分で自分を褒めてあげましょう。
「いい人」とは「いい人」として、「自分らしい」嫌な面を出さないで行動できる人です。
怒りや妬みのような悪い感情が湧いてきてしまった時は、ほかのことを考えましょう。
そして、「ダメダメ、そんなつまらないことを考えていないでもっと楽しいことを考えなければ」と自分の心の中の悪い子が悪さをしないようになだめましょう。
そのほうが自分も楽になります。
嫌な感情に向き合うのではなく、スポーツをしたり、料理をしたり、好きなことで気を紛らわすようにします。
「ありのまま」の自分に振り回されるのでなく、「いい人」を演ずる。
自分の感情をコントロールして「ありたい自分」であるよう努めましょう。
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