生きるとはどういうことか、孤独とは、愛とは何か――。誰かを愛するがゆえに、心に生じてしまう苦悩。そんな迷いや苦しみを和らげてくれる「生き方のヒント」が、瀬戸内寂聴さんの最新刊『愛に始まり、愛に終わる 瀬戸内寂聴108の言葉』(宝島社)には詰まっています。柔和な笑顔で人々を励まし、救ってきた瀬戸内さんの人生哲学は、きっとあなたの「心の栄養」に。御年99歳を迎えた瀬戸内さんの、胸に響くメッセージの一部をお届けします。
【前回】瀬戸内寂聴108の言葉「とにかく、いがみ合うのはやめようね」/愛に始まり、愛に終わる
【最初から読む】「男と女の間には永遠に渡りきれない川が流れていて」
【生について】小説『夏の終り』の映画化に際し、作品のモチーフとなった、二人の男性を同時に愛していた当時の私体験について語って。―2013年9月
この世で誰かに出逢うことが「生きる」ということなんです。
この世で誰かに出逢うことが「生きる」ということなんです。
出逢ったときはよくても、一緒にいる間に、いやなこと、苦しいことは必ずあります。
そして最後は別れの悲しみもある。
男と女の間でも、親と子の間でも。
でも、たとえ苦しみや悲しい目に遭うとしても、その人と出逢わないよりはずっとよかった、そう思いませんか。
出逢ったから苦しむ。
愛したから悲しい。
誰も愛さず、誰からも愛されなければ、苦しみ悲しみもありません。
でも、それじゃ人生つまらない。
苦しくても、誰かを本気で愛した思いが一つでもあるほうが、生きた、という感じがしますわね。
だから、私には後悔がありません。
ただひとつ、幼い子を夫に残し、育てなかったということを除いては。
【次回】瀬戸内寂聴108の言葉「あの人は苦しいんじゃないかなあ、なんて思えるときは・・・」/愛に始まり、愛に終わる
「愛」「無常」「老」「死」など8つのテーマに対して、瀬戸内さんが説く、生き方のヒント。「生きたあかし」とは何か、そして人生の道しるべが示されています