主婦に時代が追いついた?人生100年時代に哲学者がオススメする「韓国ドラマ」の魅力

定年退職の後や年金受給の時期など、考えなければならないことが山ほどある「老後の暮らし」。哲学者・小川仁志さんは、これから訪れる「人生100年の時代」を楽しむには「時代に合わせて自分を変える必要がある」と言います。そんな小川さんの著書『人生100年時代の覚悟の決め方』(方丈社)から、老後を楽しく生きるためのヒントをご紹介。そろそろ「自分らしく生きること」について考えてみませんか?

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なぜ韓国ドラマは面白いのか

私はハリウッド映画の大ファンでした。

一時期は毎日1本見るほどの勢いで、映画雑誌に映画評論を頼まれたり、自分でも本や雑誌、Webなどの連載では必ずといっていいほど映画に触れていました。

映画祭を主催したこともあります。

ところが、最近はめっきり映画を見る機会が減りました。

もちろん話題作などは見るようにしていますが、わざわざ毎晩見ることはなくなったのです。

その代わり、この一年ほどの間、ほぼ毎日「韓国ドラマ」を見ています。

よく冗談で専業主婦のような趣味ができたといっているのですが、それはこの韓国ドラマのことです。

これは別に専業主婦に対する偏見でも何でもなくて、専業主婦が概して韓国ドラマファンであることは周知の事実だからです。

専業主婦に韓国ドラマファンが多い理由はたくさんあります。

それはまた別の分析になるのですが、ざっと挙げると、韓国ドラマは昼間テレビでやっていること、一つの物語が長く続くこと、恋愛ものが多いことなどです。

しかし、韓国ドラマの最大の魅力は、どんでん返しが多いことだと思います。

長いものだと50話以上もあるので、何度もピークがあるわけです。

ストーリーが、起承転結で一つの山場があるだけといった単純なものではないのです。

それだと50話も引っ張れません。

日本のドラマともよく比較されますが、何が違うかというとやはりこの長さでしょう。

だからストーリーが面白くなるのです。

私も日本のドラマより面白いと感じてしまうのですが、最初はもっと別のところに理由があると思っていました。

つまり日本人にとっては、登場人物の顔つきや服装、背景が日本に似ているのに少し違うという部分が、疑似現実として私たちを惹きつけているのだと思ったのです。

ところが、海外からの留学生たちとこの話をしていると、韓国ドラマはどこの国でも人気があることが判明しました。

タイもそうですし、オーストラリアでさえも。

やはりコンテンツそのものが面白いようです。

たしかに2時間程度の映画では、あのどんでん返しは描けません。

物理的に無理なのです。

現に韓国の映画はやはりハリウッド映画と同じです。

どんなに面白い作品でも、50話分の描写にはかないません。

単純に計算しても、ドラマが1話1時間なら映画の25倍の時間をかけて描いているわけですから。

ただ、いくら面白くても、50話も続くものをずっと見るのは大変です。

忙しいビジネスパーソンだと、月に1本映画を見るのが関の山でしょう。

とすると、50話見るのには25か月、つまり2年以上の月日が必要になります。

そもそも月に1回2時間見て、次に1か月後に見たときには、前の話を忘れています。

だから韓国ドラマは連続で見られる人向きなのです。

せめて週1回とか。

現に日ごろから忙しくしている知人は、興味のあるドラマがあったけれど、120話もあったのであきらめたといっていました。

ちなみに、私の周囲の韓国ドラマファンは、DVDやネットでの配信サービスを利用して、毎日見ている人が多いです。

面白いので、なかなかやめられないのです。

そういう特徴があるので、韓国ドラマは暇人が見るもののように揶揄されたりします。

先ほど私が専業主婦のような趣味といったのはそうしたからかいを、自虐的に表現したものです。

でも、逆にいうと、韓国ドラマを見る余裕があるということは、ゆとりを持って生きている証拠だといえます。

実際、私がハリウッド映画やめて、韓国ドラマを見るようになったのは、焦らず生きるようになったからです。

慌てずに、生き急がない人生を

日本では、ハリウッド映画でさえ長いと感じられていました。

そうした理由から忙しい現代人にショートフィルムをすすめる人もいます。

でも、時間に芸術が制約されるなんて、本末転倒ではないでしょうか。

その点、韓国ドラマはたっぷりすぎるくらい人間の心理を描写したり、どんでん返しをしたりします。

そこが実際の人生に酷似していてリアルなのです。

実際の人生は2時間では要約できません。

50時間でも足りませんが、でも、まだましです。

これは映画やドラマに限ったことではありません。

人生100年時代というのは、慌てず生きる時代だといっても過言ではありません。

せっかく時間があるのですから、たっぷり時間をかけて楽しめばいいのです。

これまで、「1時間でわかる」とか、「3時間でわかる」などといったフレーズがもてはやされてきました。

それだけ現代人は忙しかったのです。

そして生き急いできたのです。

でも、もうそんな必要はありません。

これからは「50時間でわかる」、いや「50時間でもわからない」というキャッチフレーズが必要です。

嘘ではありません。

韓国ドラマも同じようなテーマのものが多いですが、いくつ見てもまだわかりません。

愛も友情も裏切りも。

だからまた新しいドラマを見るのです。

ハリウッド映画型人生と韓国ドラマ型人生というのは比喩にすぎませんが、少なくとも私にとっては現実的な二つの選択肢、あるいは生き方です。

そして人生100年時代を意識した今、どうしても韓国ドラマに夢中になってしまうのです。

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117-H1.jpg哲学者が語る20の人生訓や新時代への考え方など、人生を豊かにしてくれる言葉が全5章にわたってつづられています

 

小川仁志(おがわ・ひとし)
1970年京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。大学で新しいグローバル教育を牽引するかたわら、「哲学カフェ」を主宰する。NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」に指南役として出演。最近はビジネス向けの哲学研修も多く手掛けている。

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『人生100年時代の覚悟の決め方』

(小川仁志/方丈社)

現在40歳の人の平均余命は残り44年。人生もう1回分あるのが今の時代です。これまでの価値観や方法は通用しないかもしれません。時代の変化に合わせて、自分を変えて、老後や余生を自然体で生きれるように。これからの人生を準備するための一冊です。

※この記事は『人生100年時代の覚悟の決め方』(小川仁志/方丈社)からの抜粋です。

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