<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女
年齢:40歳
プロフィール:50歳の夫と二人暮らしの主婦です。
コロナ禍で、生活様式や衛生観念はかなり変わってきました。
私たち夫婦は、私が潔癖症気味で神経質なのに対し、夫はかなり大らかでワイルド。
酔っ払って平気で道で寝てしまうような夫のことが心配で口うるさく言ってしまうこともあり、しょっちゅうぶつかっていました。
あれは3年前、夫婦で食べ物フェスに行った時の話です。
大きな公園に日本全国からやって来たいくつもの屋台が並ぶ大規模なイベントでした。
私たちのお目当ては海鮮の屋台でしたがすでに長蛇の列ができていました。
30分以上並んだでしょうか。
ようやく私たちの番になった時、事件は起きました。
海鮮を焼いていた60歳くらいの男性が、重なったプラスチック容器を取る時に、指をぺろっと舐めてから取ったんです。
潔癖症の私にとっては耐えられない不衛生な行為です。
びっくりして、考えるより先に言葉が出てしまいました。
「今指を舐めましたよね、不衛生なのですぐに消毒して下さい!」
すると男性は、そこらへんに置いてあった薄汚れた雑巾で指を拭って元の作業に戻ろうとしました。
「そうじゃなくて、きちんとした消毒液で消毒するか、石鹸で洗ってください!」
私が強い口調で言うと、男性はオロオロするばかり。
騒ぎを聞きつけたのか責任者らしき店員が消毒液を持ってやって来ました。
お目当ての海鮮は買えたのですが、そんなことがあったので美味しくありません。
さらに夫ともケンカになってしまいました。
「あれはちょっと言い過ぎだよ、おじいさんに言うのはかわいそうだよ」
「あんな不衛生なことをほっとけないよ、何で知らない人の唾がついたものにお金を払わなきゃいけないの」
「そんなに清潔な事が大事なら、屋台の食べ物フェスじゃなくて高級レストランに行けば良いじゃないか」
「私が言わなきゃ他のお客さんにも被害が出るでしょ、もしあの人が病気で他の人に感染したらどうするの」
「君が騒いで雰囲気が悪くなる方が他のお客さんにとって迷惑なんじゃないかな、みんな楽しみに来ているのに」
「神経質な私と居たんじゃ楽しめないなら、私は先に帰るよ!」
ついに私が立ち去る事態にまでなってしまいました。
今から考えると、私のきつい言い方に問題があったのだと思います。
同じことを伝えるにも、角を立てずに理解してもらえるようなふさわしい言い方があったはずです。
しかし当時は、何で私の衛生観念を分かってくれないんだろう...という悲しい気持ちでいっぱいでした。
最近、テレビで飛沫感染のニュースを見ていたら、夫がその時のことを話しはじめました。
「あの時はケンカになったけれど、今こうして飛沫感染の危険性を知ると君の言っていたことも正しかったんだなと思うよ。マスクをせずに近くで会話をしただけで感染するんだから、食べ物のお店の店員が指を舐めるなんて危険な行為だよな」
理解してもらえないと思っていた衛生観念の違いですが、コロナ禍をきっかけに少し分かってもらえたようです。
コロナは早く収束して欲しいですが、これをきっかけに夫が歩み寄ってくれたのはうれしい出来事でした。
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