<この体験記を書いた人>
ペンネーム:れな
性別:女
年齢:42
プロフィール:夫(42歳)娘(17歳)と愛犬と暮らしている兼業主婦。
私の父は78歳、母は70歳です。
父は長年勤めた会社の定年を迎えた後、非常勤で69歳まで仕事をしていました。
70歳になり、老後を母と静かに生活したいと、会社を辞めました。
父と母は年の差が8歳ということもあり、母は何をするのにも父を頼り、父も優しく母をリードする、仲睦しい夫婦でした。
父が退職した直後は、2人で好きな歌舞伎を観に行ったり、旅行に行ったり...と、とても楽しそうな様子でした。
けれど、1年程経ったころから、母の口から「父に対しての不満」が頻繁に出てくるようになりました。
母は結婚以来ずっと専業主婦。
父は家のことは一切できません。
ずっと家にいるのに、働いている時のように何もしない父。
そのことが、母は面白くなかったようです。
私が実家に遊びに行った時、母の「父に対する態度」が明らかに以前と違うのがわかりました。
わざと聞こえるように大きな溜息をついたり、遠回しに嫌みを言う母。
父も気が付いているのでしょう。
食事以外は、ほとんど自分の部屋から出てきませんでした。
それでも、父の退職後に習い始めた「木目込み教室」や「陶芸教室」には2人で通っていたので、私は「母の愚痴を聞いて、なだめていればいいや」くらいに思っていました。
しかし、最近になって母は「父と離婚したい」と言い出すようになったのです。
......私は心底驚きました。
そこまで思い込むには、余程の理由があるのだと思い、母をランチに誘い、理由を聞くことにしたのです。
最初は、いつも言っている父への不満話だったのですが、どうも様子が違います。
よくよく聞くと、2年程前に始めた「社交ダンス教室」で、パートナーを組んだ60代の男性のことを気に入ってしまったようなのです。
顔を赤らめながら、その男性のことを話す母は、少女のようでした。
ダンスも上手で優しくリードしてくれ、レッスンが終わるとお洒落なカフェやレストランに連れて行ってくれるそうです。
相手の男性は、バツイチで子供も成人しているので、1人の生活を楽しんでいるようです。
そして、それとなく母に「貴女みたいな女性ともっと早く知り合いたかった」「独身生活は楽しいが、最近時々寂しさを感じる」などと言ってくるそうです。
私はとても複雑な心境で、母の話を聞いていました。
父の事を考えると何も言えませんでした。
その夜、兄に電話で事の一部始終を話すと、兄は「父以外の男性が現れてのぼせているだけだろうから、そのうち熱も冷めるでしょ。放っておけばいいよ」と言います。
少なからず私も兄と同じことを思っていたので、今は様子を見ていこうと思っていますが......胸がざわざわするのを抑えられません。
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