＜この体験記を書いた人＞
ペンネーム：おとうふ
性別：男
年齢：47
プロフィール：田舎の地方都市で小学生の娘と3歳下の妻とのほほんと暮らす中年です。
5年位前に勤めていた会社でのことです。
私が勤めていた会社は、事務所でのデスクワークがメインの会社でした。
事務所は女性スタッフがほとんどですが、仕事量が多く、残業や早出もあります。
更に、土日も何人か出勤しないといけない仕事で、勤務体系に加え地方ということもあり、募集しても中々応募が来ない万年人員不足状態の会社でした。
そんな時に入社してきたのが、Aさんという40歳位の独身女性でした。
痩せていて髪はショートカット、顔はキツネ目に眼鏡という感じで、初対面だと冷たく感じるような見た目でした。
彼女は仕事はある程度できたのですが、人付き合いが苦手な様で、休憩中の同僚達の会話に中々入ろうとしませんでした。
話を振られてもそっけなく返すことが多く、お昼休憩もほとんど1人でいる感じです。
数カ月後には、他の女性スタッフからAさんについて色々と悪い評判が聞こえてきました。
話によると、仕事で間違いがあっても自分の非は認めず、「聞いてない」や「教わってなかったから」と言い訳するのだそうです。
勤務シフトについても、彼女の父親（70歳）が寝たきりなので介護しないといけないということで、早出や残業はもちろん、交代でする土日の出勤も一切やってくれないとのこと。
特に仕事が忙しい時にかぎって、父親の介護を理由に休んだり、早退したりするとのことでした。
また、腰痛を理由に、朝や帰りにみんなでする掃除をほとんどしないため、余計に反感を買っていたようです。
私も最初に他の女性スタッフから話を聞いた時は、理由が理由なので仕方ないと思いました。
「周りでカバーしていこう」とたしなめておきましたが、一応、彼女本人にも問いただしてみることにしました。
すると泣きそうな顔で「すみません、家庭環境が今は苦しくて」と困った顔をされたのもあり、もう少し様子をみることにしました。
それから一年位経ったある日のことです。
Aさんは休みの日でしたが、昼休憩中に女性スタッフが携帯電話を見て何やら騒いでいました。
どうしたのか聞いて見ると、女性スタッフの中にAさんと共通の友人がいたらしく、その友人を介してフェイスブックでAさんの日記が見れるようになったとのこと。
そこに書かれていた内容に全員驚愕してしまったのですが、会社や同僚の悪口がたくさん書かれていて、土日は買い物や食べ歩き、旅行など独身生活を謳歌する日記ばかりでした。
さらに、両親とよくキャンプにも行くらしく、寝たきりのはずの父親が釣りをしたりテント張りをしたりしている写真も。
極めつけは「明日は嫌いな先輩と一緒の勤務だから早く帰りまーす」とか「昨日は飲みすぎたので早退しました」など、目を疑う内容が書かれていました。
このことは社長の耳にも当然入りました。
次の日の朝、普通は社長室に呼び出されて叱られたりする物ですが、社長もだいぶ頭に血がのぼっていたようです。
社長は朝礼の時に、全員の目の前でAさんにこの日記の真意を問いただされました。
Aさんの顔はみるみるうちに漫画のように紫に変色し、足がガクガクと震えたかと思うとその場に泣き崩れ、「すみません、すみません」を繰り返すだけでした。
そのままAさんは家に帰ってしまい、二度と出勤することもなく退職してしまいました。
後から聞いた話だと、父親の病気も全くの嘘だったらしく、社長がそのことを電話で父親に伝えたら激怒していたそうです。
しかし、自分の都合で父親を病気にしてしまうとは...とにかく、いろんな意味で驚かされた人でした。
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