<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ねこのきもちがわからない
性別:女
年齢:51
プロィール:幼いころから何かあるたびに私を守ってくれた姉。しかし、私の結婚を機にお互いの関係に変化が......。
私には姉がいます。美人さんなのにひょうきん者。はじける笑顔が何より素敵な女性で、周囲の人気を一身に集めるような存在です。
そんな姉がいつも羨ましくかつ自慢の存在の私。今でも大好きです。しかし今となってはその思いは私の一方的なものとなっているのかもしれません。
それにはこんないきさつがあるのです。
「私は一生仕事を頑張る! 結婚はしない!」
暴君だった父の影響で私は結婚に幸せを見いだすことができず、常日頃こんな言葉を言い続けていました。
その言葉通りに仕事を頑張った結果、その成果は上々。それに伴い私のキャリア志向はどんどん強くなる一方でした。
そんな私に対して「がんばれがんばれ~♪」そんなあたたかい視線を向けてくれていたのが姉。周囲が「結婚結婚」と色めき立つ中でも「本人が幸せなら今のままでいいじゃん」といつも私の味方をしてくれていました。
ただ、そんな私の状況は夫との出会いで一変。自分でも驚くスピードで結婚へと突き進みました。
このことに驚きつつ、「よかったよかった」と喜んでくれたのも姉。その時すでに結婚生活の先輩だった姉はあれこれアドバイスをしてくれました。
そんな生活から数年が経過したころ、私たち姉妹の関係に亀裂が生じる出来事が。それはカフェでランチをしていた時のこと。元々仲良し姉妹の私たちは互いの近況を語り合っていました。
「子どもがね~」とか、「夫がね~」と、そんな他愛ない会話をしていると、急に姉が無口になり、次第に不機嫌な表情に。
そして突然、「前から言おうと思っていたのだけれど、私あんたが大嫌い」と静かな口調で始まりました。そこからはもうせきを切ったように「結婚しないって言ってたよね!」と続き、最後には「あんたみたいな嘘つき女が一番嫌い!」と捨て台詞を残してお店を出て行ってしまいました。
突然のことに何が起こっているのかわからない私でしたが、慌てて姉を追いかけます。するとそこには号泣している姉の姿が。
落ち着かせようと姉を車に誘導して話を聞いてみることにしました。そこで聞かされた姉の涙のワケは、お互いの生活の違いと、姉の苦しいほどの寂しさにありました。
姉の嫁ぎ先は会社を経営していて経営状態も順調そのもの。周囲もうらやむほどとても豊かな生活を送っています。
ですが、その分義理の兄はいつも忙しく、家のことには無関心なのだそう。それは子どもの参観日も運動会も家族のお祝いも同じこと。仕事と接待がなにより優先なのだそう。
そんなわけで家族で遊びに出かけたのも片手で数えられるほど。家族の写真がそれを証明していると泣き続けていました。
それでも姉は「仕事が忙しいのだから仕方がない。自分が頑張らなきゃ」と踏ん張っていたのだそうです。
一方私の夫はフリーランス。経済的にはごくごく普通です。しかし、その分自由の効く立場ですので、参観日、運動会、式典、家族のお祝いごとなどほぼほぼ皆勤賞。
加えて毎週末になると家族でどこかしら遊びに出かけていました。
そんな双方の生活の違いを語り合っているうちに、姉の心にたまっていった「寂しさ」があぶりだされてしまったみたいなのです。
「自分の結婚生活を幸せだと思いたい。でも、私はあなたみたいな笑顔はできない」と、号泣し続ける姉に私は何もできませんでした。
この時の出来事は私たち姉妹の関係に大きく影を落とすこととなり、それ以来私たちのランチタイムは消滅。いまだ再開できずにいます。いつかまた、姉のはじける笑顔に会いたいと思いながら、どうすればいいのかいまだ答えが見つからない私です。
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