うらやましい、寂しい。施設の母を見舞うことが周囲に与えた影響

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:kame
性別:女
年齢:51
プロィール:毎週施設にいる母を見舞う夫。この行動が知らない間に周囲の人を傷つけてしまっていたみたいなのです。

うらやましい、寂しい。施設の母を見舞うことが周囲に与えた影響 1.jpg「多少の不便があってもずっと自宅で生活したい」

これが夫の母の希望でした。ですが、90歳を目前に転倒により足を骨折。けがは完治したものの、以前と同じように行動することは困難な体となってしまいました。このことがきっかけとなり、現在は介護施設で生活しています。
それでも自宅での生活にこだわっていた母にとって、介護施設への入所はとてもつらく寂しいことのようでした。

せめて母に寂しい思いをさせないようにと、夫は毎週1度施設に通っては母の話し相手になっています。そして私は、娘と孫を連れて月に1回程度施設を訪問することにしています。

そんな私たちに対して、いつも笑顔で挨拶してくれていたとある入所者の女性がいました。その女性は私たちの顔を見ると、「いつも仲良しだね~」とか、一緒にいる孫に対して「元気?学校は楽しいかな?」など、いつも朗らかに声をかけてくださっていました。

そんな日々が続いたある日、いつもの通りに夫が施設を訪問すると、その女性が夫を見ても目を伏せるようになったというのです。最初はさほど気にしていなかった夫ですが、それが毎週となるとさすがに気になります。それとなく観察していると、今度は夫を見かけた途端逃げるように自室に入るようになったのだそうです。

その行動に「もしかすると、母との間になにかトラブルでもあったのかな」と感じた夫は、それとなく施設のスタッフさんに聞いてみることにしました。

すると、施設の方から聞かされたのは、「お母さまはどなたともトラブルはありません。ただ、ここで生活している方のほとんどにはお見舞いがなくて。そういう意味ではお母様は特別な存在。周囲の方の多くがうらやましいと感じているのだと思います。ですから、気になさらないでください」ということでした。

これはつまり、私たちの母へのお見舞いが、ほかの入所者の方に「寂しさ」を感じさせているということだったのです。

年齢を重ねたことで体の自由を失い、その結果生活がおぼつかなくなり施設で生活している。それでも本当は家族と一緒にいたい。でも会えない。寂しくて辛い。

そんな入所者の方の気持ちは、理解できるような気がしました。

このことについて夫婦でいろいろと話し合ってみましたが、解決の方法なんて見当たりません。それに、このことを知ったとしても、母の気持ちを考えるとお見舞いの回数を減らすことはできないという結論を出しました。

ですので、これからもずっと今のペースでお見舞いを続けていこうと考えています。ほかの入所者の方に寂しさや辛さを感じさせていたとしても......。
それが、今の私たち家族が母に対してできる精一杯のことなのですから。

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